民間からの提言により超党派で共有された 国会改革の問題意識
昨日、PHP総研主催の政策フォーラム「統治機構改革1.5&2.0 ー 次の時代に向けた加速と挑戦」に出席しました。PHP総研は先日のブログで触れたG1同様、民間のシンクタンクで、今回は、その統治機構改革研究会の皆さんから3月に出された提言のコンセプトを、各党の国会議員に共有し、各党の代表者と意見交換しようという主旨のものでした。
冒頭にPHP総研の亀井善太郎・主席研究員から概要説明があり、衆議院では、与野党の政策争点を可視化して競い合う「アリーナ型」の議会化、参議院では、財政など長期的な問題の提起をするなど独自機能を明確化し、さらに行政府も立法府の変革に合わせ「組織志向」から専門性をより重視していく-といった方向性が示されました。研究会の皆様からは参院選の公約づくりに、こうした問題意識を反映することも求められました。
このブログで何度も書いてきたように、平成の時代は橋本政権下の省庁再編にはじまり、この国の統治機構の改革に試行錯誤してきた30年でした。しかし、結局は私たち国会議員の足元の仕組みをアップデートせねば、この国の意思決定が、グローバル化やテクノロジーの高度化など劇的変化に取り残されかねません。
昨年は、自民党の衆院4期参院1期以下の有志議員で国会改革を提言したところに始まり、他党の同志も巻き込んで衆議院改革(タブレット導入、産休中の女性議員の遠隔投票導入、党首討論の定例化・夜間開催)を模索してきました。しかし、いざ実行となると、与野党間の駆け引きに陥り、なかなか動かないのも現実で、今回の提言や論議の場の設定は、民間の力が改革を進める力になり得ることを示しています。
フォーラムの後半は、各党の代表者、傍聴した議員も含めた意見交換で、スキャンダルの追及だけでなくテーマの本質的な審議を深めるにはどうすべきか、行政側に比べて立法側はデータが圧倒的に少ないことの問題点、与党が委員長ポストを全て独占するのではなく、野党にもある程度権限を与えるという考え方、国会質問の対応で霞が関が「ブラック職場」化して有能な人材が集まらなくなっている問題点などが提起されました。
今回、議論を通じて、与野党とも問題意識はあまり変わらないことを確認できたことと、衆議院改革実現会議に参加を見送られた立憲民主党議員の方々の意見を聞く場ができたのは大きな収穫でした。
逢坂議員から、ITや医療のように劇的な変化を遂げている分野の立法に「国会の議論が追いつけていない」と指摘があったことは全く同感です。また、山尾議員が「統治機構の三角形のうち内閣が突き抜けているが、それを抑えることで良くなるということでもない。むしろ国会と司法の機能不全をあるべき姿に強化することでバランスをとることが健全」という趣旨も方向性が一致しています。
しかし、小泉議員が「合意あれど実現せず」と述べたように、総論賛成、各論反対で党派間の駆け引きに陥り、前に進まなかったのが国会改革のこれまででした。私たちが意思決定のスピードアップを主張すると、野党から「行政監視の強化が先だ」と待ったをかけられることの繰り返しでしたが、国会改革が実現することで、行政監視はむしろ強化できるのです。
党派を超えて議論を重ね、意見をすり合わせていくことで、国会改革は必ず前に進めたいと思います。
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— 小林史明(衆議院議員/広島7区/福山市) (@kb2474) 2019年4月5日