決算行政監視委員会でデジタル規制改革と行政改革について質問に立ちました。
先日、内閣府、法務省、経済産業省の連名で押印についての見解が示され、法務省のホームページにQ&A形式で掲載されました。対面・書面・押印原則の改革については、座長を務める自民党行政改革推進本部規制改革チームで、多くの民間企業の協力を得ながら、改革の具体案を提言にまとめてきました。引き続き実行について注力の必要があるものの、このQ&Aでこの国が大きな改革の一歩を踏み出し、一定の成果を出せたと思っています。ご協力いただいた民間企業と、共に変革に取り組もうとする行政の皆さんに感謝します。
今期の通常国会は新型コロナ対策が最重要課題となった国会でしたが、本国会で決算行政監視委員会で質問に立ち、この対面・書面・押印原則の改革について、内閣府・財務省・金融庁と議論しました。今回のコロナを機に見直し、社会全体を進化させるために、行政改革と規制改革の観点から、各省庁で進めるべき案件について、特に、行政が範を示し、民間の改革を推進できるよう、具体的な改革案を提案し、対応を求めました。
今回の質疑は、コロナショックを契機に新しい日常を築いていくにあたり、日本の長い歴史で築かれた形式主義からの脱却を成し遂げなくてはいけないという強い問題意識からです。現在の法律には、その判断のためのプロセスには、押印、書面、目視、打音など明確に手法が書かれており、今回のような非常時において柔軟性がないことが明確になったのと、平時においてもイノベーションを阻害する、国の発展の足かせになっています。
例えば、各種点検業務において、目視でやるようにと手法が法律に書いてあるので、カメラやAI、センサーなど新しい検査手法が受け入れられない、受け入れられないから開発が進まず、マーケットができず、イノベーションが生まれづらい、というスパイラルになっています。
コロナショックを契機に、法律を手法ベースからゴールベースに切り替えて、目的が達成されれば手法は自由、と全省庁の法律を見直すことが、デジタル規制改革の根本だと考えています。これからの新しい日常において、民間のイノベーションを促進し、災害や非常時に強い、安全で安心して暮らせる国をつくる。それが国民を幸せにすることにつながると考えています。質疑の要旨は以下の通りです。決算行政監視委員会は、国会法第41条2項15号に規定される衆議院の常任委員会の一つで、予算が適正に使われているかをチェックする委員会です。衆議院インターネット審議中継サイトのアーカイブでご覧いただけますので、動画でもぜひご覧ください。
質疑要旨:
質問 1
法令等でで押印・書面・対面を求めている手続は既に可視化されている。まずは緊急事態への対応として、各省庁の庶務などの内部手続で、即時に見直すべき。行政改革推進本部のミッションとして全省庁に対し取り組むべきと考えるが如何?
答弁者:平将明内閣府副大臣
押印、書面、対面原則については、4月27日の経済財政諮問会議における総理の指示を受けて、規制改革推進会議が示した方向性に沿って、速やかに各省取り組んでいる。政府から民間企業や国民に接触機会を減らすよう行動変容を求めている中、政府職員も自らの行動様式を変え、テレワークを阻害するような手続きを見直す必要があると認識している。内部管理事務の見直しに知見を有する行政改革推進本部事務局が規制改革推進会議に協力し、手続きの見直しに携わるよう事務連絡を発出したところで、各省の責任者、担当者をを定め、自発的に業務を見直す体制を作り、集中的に取り組んでいく。具体的には副CIOが各省にいるので、見直しの体制を充実させ、連携して進めていく。
問2
官房長官配下に全省庁の業務見直しチームが組成された際、業務の見直し自体も追加業務ともなるので、一時的でも人員増が必要とした。特に厚生労働省はコロナ禍により引き続き対応に追われることが想定される。人員増の状況と今後の計画如何?
答弁者:内閣官房内閣人事局人事生活統括官 山下氏
接触機会を減らすことを始め、業務の見直しは重要な課題であり、見直しそのものが追加業務であること、厚労省が特に業務量が多いことも認識している。昨年定められた令和2年度定員審査に沿って、見直し実施体制整備を支援する方針。具体的には官房人事課に業務見直しのための定員を9人増員し、何か起きた時に機動的に派遣できる監視派遣支援班も設定。外部の経験者も含め、有効になるような体制になるよう組織した。コロナ禍においては、内閣府、厚労省の業務に特に負担が大きく、他省や独立行政法人、地方自治体から応援を集めて当座の定員処置をしている。状況を見極めつつ、国民に必要な支援が速やかに行き渡るように対応していく。
問3
各行政機関の長たる大臣がそれぞれに改革方針を示せば、役所内の見直しも加速するのではないか。民間企業に範を示すためにも政府が自ら率先して取組を進められるよう、麻生財務大臣から改革方針を財務省および金融庁に示してはどうか
答弁者:麻生太郎財務大臣 内閣府特命担当大臣(金融) デフレ脱却担当
コロナショックにより、人に会わないで仕事ができても文句言われなくなった。財務省では昨年制定された電子決済移行加速化法案のおかげもあり、ここのところ署名した記憶がないので、電子化もだいぶ進んできていると認識している。国民に役所が求めるものでは納税が大きかったと思うが、e-taxが導入され、当初は操作が難しかったが、それもだいぶ楽になったのではないか。申告書にハンコがなくても対応するなど、納税者の事情に配慮して柔軟に対応するよう指示している。金融機関からの届け出、申請書、はハンコ不要ということで、今後の方針としてすでに動き始めている。
問4
行政の内部管理事務のうち特にデジタル化の進展が遅く、書面や押印が残っていることで職員に大きな負担がかかっていると言われているのが共済組合関係の手続き。民間においても健康保険組合の手続きが煩雑であると聞いている。民間に範を示す意味でも、財務省所管の共済組合の手続き見直しをしてはどうか?
財務省主計局次長 角田氏
共済組合の手続きの現状、年一回、被扶養者の資格確認、勤務先変更、家族関係の変更などの確認の手続きをとっている。平成21年までは省令で様式を定めていたが、すでに廃止して具体的な様式は各共済組合で決めている。経済諮問会議において総理から、テレワーク推進に必要な手続きの見直しについての指示の通り、共済関係の手続きについても適切に対応していく。
問5
民間同士の取引における対面や押印の見直しを検討する際、必ず障壁となるのが金融機関とのやりとり。民間の商習慣ではあるが、現在のコロナ禍の状況において、金融機関の手続きについて見直しを促すことも、必要ではないか。金融庁として、不要な押印や書面、対面を求めないよう通知やガイドラインを示してはどうか?
答弁者:金融庁監督局長 栗田氏
民間の商慣行の中でも特に金融機関における押印や書面提出を求める商慣行の見直しを進めていくことが必要であることについては同じ認識。実態の把握、課題の整理、代替手段の検討を金融機関と連携して迅速に行っていくことが重要であると考えている。金融機関とこれらのための会議体を設けて、集中的に議論を行い、見直しが進むよう、全力で取り組んでいく。
問6
各省庁で、テレワーク等の取り組みが積極的に実施されているが、官公庁では機材やシステム対応の予算が不足して足が止まっている現状がある。業務効率をあげるためのインフラや新しい技術を速やかに採用すべきと考えるがどうか?
答弁者:財務省主計局次長 栗田氏
従来よりテレワークの促進を行ってきたが、各省庁でも認識が変わってきている。4月22日のIT戦略会議において、霞ヶ関においても一気にデジタル化を進めるべきと総理からの言葉があり、まずは各省庁で必要性を検討していただきたい。重要性は確実に深まっているので、予算編成の中で、財務省としても適切に判断していきたい。
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