Blog ブログ

自民党行政改革推進本部提言全文:規制改革の推進体制について

テクノロジーの圧倒的な進展によって、人の生き方や社会構造が変わっていく中、柔軟に規制をデザインし直していく必要があります。政府の規制改革会議はこれまで70年ぶりの漁業法改正をはじめ多くの成果をあげてきましたが、今後、より一層成果をあげることのできる体制にするべく、行政改革推進本部から提言を菅義偉官房長官に提出しました。以下に提言全文を掲載します。



規制改革の推進体制について

令和元年6月11日
自由民主党 行政改革推進本部
規制改革検討チーム

 規制改革は、経済成長を実現し、国民生活を豊かにするための根幹である。多くの分野でしばしば、数十年前に設定された時代遅れの規制がそのまま残され、新たなチャレンジやイノベーションを阻んできた。昭和末期から平成の時代を通じ、規制改革の取組がなされたが、いまだに少なからず課題が残され、岩盤規制と呼ばれている。

令和の時代においては、さらに第四次産業革命とも呼ばれる社会変革が進み、デジタルとデータを基礎とした新たな経済社会への転換が世界規模で進行する。その中で、旧来のアナログ時代の規制を新時代に適合させることは急務であり、その成否は日本経済の国際競争力に直結する。

こうした中、従来以上に、強力に規制改革を推進する体制を構築する必要がある。現在設けられている「規制改革推進会議」の設置期限が本年7月で満了し、新たな推進体制に組み替えるに際し、以下の事項を実現すべきである。

1、規制改革推進機関の法定化・常設化

 規制改革推進機関は、平成7年(1995年)に設けられた行政改革委員会規制緩和小委員会以来、概ね3年程度の時限機関として設置され、期限満了に伴い新たな機関に衣替えを繰り返すことが慣例化してきた。また、初期の行政改革委員会は法律に基づく機関だったが、近年は、政令に基づき設置することが一般的になっている。

 規制改革が経済政策の根幹であり、その重要性がますます高まること、また、一時的な取組で解決する類の課題ではないことを考えれば、こうした機関設置のあり方は見直すべきである。内閣府設置法上の重要政策会議(第18条)として位置づけ、経済財政諮問会議や総合科学技術会議などと同様に、法定化・常設化を図るべきである。

2、規制改革・特区・地方分権・行政改革の戦略的連携・推進のための体制整備(担当大臣の一元化、規制改革関係閣僚会議の設置・開催)

 規制改革と特区は、全国一斉か特区限定かという手法の違いに過ぎず、いずれも広義の規制改革である。また、地方分権や行政改革も、規制改革と深く関わる。このため、同じテーマが重なり合って、規制改革・特区・地方分権・行政改革に関するそれぞれの会議で取り上げられることも少なくない。テーマによっては複数会議体間で戦略的連携が図られるケースもあるが、全般に必ずしも十分な連携はなされていない。司令塔となるべき所管大臣についても、これらの一元化はなされておらず(規制改革と特区は同じ大臣が担当することが近年通例になっているが、地方分権や行政改革は異なることが多い)、そのことも戦略的連携の阻害要因となっている。

 規制改革を中心とした諸改革の戦略的連携をより強化するため、規制改革・特区・地方分権・行政改革は、同じ大臣が担当することとし、また、戦略的な改革推進をより進めやすくするため、規制改革関係閣僚会議(官房長官、規制改革担当大臣、規制所管大臣、適宜民間議員も参加)を設置し、要所要所で開催すべきである。

3、改革人材のプールと人事評価への反映

 規制改革推進を支える事務局体制は、各府省と民間等からの出向で構成されている。各府省は一般に規制改革に対して肯定的でなく、その結果、事務局職員がそのミッションと出身府省との間で板挟みになることが少なくない。また、民間等からの出向者が力を発揮するための環境も不十分になりがちである。

 規制改革をより強力に推進するため、改革を進める人材が評価され、よりモチベーションを高めていける仕組みが必要である。具体的には、規制改革・特区・地方分権・行政改革などを担う改革人材のプールを作り、各省人事とは切り離して、内閣府のもとで人事管理を行うべきである。

 また、改革人材のプールは言うまでもなく、規制所管側の府省の職員に関しても、必要な改革を進めるためにあえて困難な調整に取り組み、成果を出した者が人事評価でプラスに評価されなければならない。このため、内閣人事局において評価の基準設定および運用の徹底を行うべきである。


LINE@などそれぞれのSNSで、イベント登壇情報や政策に加え、スペシャルコンテンツをお届けしています。ぜひ登録お願いします。

友だち追加


@kobayashifumiaki