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こども保険へのご意見やよくある質問への回答をつくりました

3月29日に「こども保険」の提言を発表し、各メディアで議論がなされています。

これまでいただいた意見や質問への私たちの考え方をまとめましたので、ぜひ下記からご覧ください。

こども保険FAQ よくある質問への回答

こども保険 概要資料 PDF

こども保険 提言本文 PDF

 

・以下FAQ

問1.子どものいない方や、子どもを持つつもりがない方もなぜ保険料を負担しなければならないのか。不公平ではないか。

 

子どもが増えれば、人口減少に歯止めがかかり、経済・財政や社会保障の持続可能性が高まる。こども保険の導入により、企業や勤労者を含め、全ての国民にとって恩恵があり、就学前の子どもがいない世帯にとっても、間接的な利益がある。

 

なお、従前より、政府も少子化対策や子ども・子育て支援に取り組んでいる中、最大の問題は、社会全体で子育てを支える国の本気度が若者や現役世代に伝わっていないことである。「社会全体で子育てを支える」ことを明確化する観点からも、こども保険の提言にいたったということをご理解頂きたい。

 

問2.現役世代は既に高い社会保険料を負担している。これ以上、負担を拡大するのは問題ではないか。また、「社会全体で支える」と言いつつ、高齢者から社会保険料を徴収しないのは問題ではないか。

 

現役世代の皆様には、年金、医療、介護等について、収入の約15%を社会保険料として負担していただいている。今回の提案は、0.1~0.5%程度の負担を追加でお願いするもの。

 

安倍政権では、雇用環境の改善を受け、2016年度と2017年度に、それぞれ0.1%ずつ、雇用保険料の引き下げを行っている。こうした環境の下、まずは0.1%程度の負担であれば、ご理解いただける範囲と考えている。

 

また、こども保険は、保険料負担という意味では現役世代に負担をお願いするものとなっているが、高齢者の方にも、現役世代の負担抑制に協力いただくフレームワークを考えている。

 

具体的には、現役世代が高齢者を支えるために既に重い社会保険料を負担していることを踏まえ、こども保険の1%からの拡充の財源については、医療・介護の給付改革により医療・介護の負担の伸びの抑制を充てることとし、それにより、世代間公平を実現することとしている。

 

こうした新たなフレームワークの下、高齢者の皆様に、医療・介護の給付改革にご協力いただければ、こども保険を拡大し、より充実した給付を行うことができる。全世代型社会保障の実現に向けて、ご協力いただきたい。

 

問3.こども保険は、子どものいない世帯や、子育てが終わった世帯は給付が受けられない。受益と負担が一致しておらず、「保険」とは言えないのではないか。

 

子どもが増えれば、人口減少に歯止めがかかり、経済・財政や社会保障の持続可能性が高まる。こども保険の導入により、企業や勤労者を含め、全ての国民にとって恩恵があり、就学前の子どもがいない世帯にとっても、間接的な利益がある。

 

また、社会保障の“将来的な担い手”を育てることに他ならないため、将来的に社会保障の給付を受ける時点において、現在の「負担」が「受益」として戻ってくるという側面もある。

 

なお、他の社会保険においても、年金では、支給開始前にお亡くなりになると、給付は受けられない。また、医療や介護においては、保険料が減免されていても、給付が受けられる。つまり、社会保険においては、個人ベースでみれば、完全に給付と負担が一致しているわけではない。

 

問4.保険と言いつつ、結局は増税と同じではないか。国民に負担を求める前に、国会議員の定数削減など、国が「身を切る改革」を行うべき。

 

こども保険は、子育て支援に必要な給付を行うため、薄く広く、事業者や勤労者に負担を求めるもの。こうした新たな負担は、全額が子育て支援に回るため、使途が明確であるという点で、使途が見えにくい増税とは異なる。

 

(保険料0.1%の場合)年収400万円の家庭の場合、月240円の負担増となるが、就学前の子どもがいれば、1人当たり月5千円の給付を受けられる。子育て世代には、大変な恩恵がある。

 

安倍政権では、雇用環境の改善を受け、2016年度と2017年度に、それぞれ0.1%ずつ、雇用保険料の引き下げを行っている。こうした環境の下、まずは0.1%程度の負担であれば、ご理解いただける範囲と考えている。

 

もちろん、国民に負担をお願いする以上、国も「身を切る改革」をしっかり進めていくべきと考えている。

 

問5.こども保険は、どういう「リスク」に備えるものなのか。子どもを持つことや、幼児教育・保育にお金がかかることは、「リスク」とは言えないのではないか。

 

こども保険は、「子どもが必要な保育・教育を受けられないリスク」を社会全体で支えるもの。「こどもを持つこと」自体がリスクではないが、待機児童の問題をはじめ、子どもが必要な保育・教育を受けられないリスクは、政策的に公的保険でカバーされるべきリスクと言えるのではないか。

 

待機児童問題や金銭的な制約が理由で、子どもが必要な幼児教育・保育を受けられず、それにより子どもを持たない選択をするのであれば、日本全体にとって大きな損失。こども保険は、そうしたリスクを社会全体で支え合い、少子化を食い止めることを目指すもの。

 

(注)雇用保険事業のように、社会保険の枠組みの中で、保険料を財源として、保険事故(失業)に対して保険給付を行うことを本体事業としつつ、附帯事業として裁量的な事業を実施しているケースもあり、そもそも現在の社会保険制度全体が、厳密に「リスク」に備えるものとして運営されているわけではない。

 

問6.子育てを社会全体で支え合う必要性はどこにあるのか。子どもを持つかどうか、どのような子育てを行うかは、個人の自由と責任にゆだねられるべきであり、国が介入すべきではないのではないか。

 

もちろん、子どもを持つかどうかは、究極的には個人の自由。当然、国が強制的に方向性を決めるものではない。

 

しかし、少子化は、我が国の最大の課題の1つ。子どもが増えれば、人口減少に歯止めがかかり、経済・財政や社会保障の持続可能性も高まる。

 

こども保険は、直接的には子育て世代の負担軽減を目指すものだが、これにより経済や社会保障の支え手が確保され、それらの持続可能性が高まれば、間接的ではあるが、子どもを持たない現役世代や、高齢世代を含め、全ての国民に恩恵がある。

 

こうした中、子育ての責任を一部の若者世代に任せるのではなく、今こそ、社会全体で支え合う仕組みを検討すべきではないか。

 

問7.なぜ事業者にも社会保険料負担を求めるのか。中小企業の保険料負担は限界ではないのか。

 

中小企業の皆様より、社会保険料負担が重いという指摘をいただいていることは十分に承知している。これまでも、協会けんぽへの財政支援など、中小企業の負担軽減に取り組んでいるところ。医療・介護などの給付の効率化も含め、こども保険の料率の引上げに伴い、中小企業にとって過度な負担とならないよう、配慮していきたい。

 

問8.消費税率の引上げ(5%→10%)のうち、0.7兆円は子育て支援に回すことにされたはず。なぜ国民に更なる負担を求めるのか。消費税10%への増税は凍結するのか。

 

消費税引上げによる増収は、保育所の整備や保育士の待遇改善など、喫緊の課題である待機児童の解消に向けた方策に使用している。

 

政府・与党としては、平成31年10月からの消費税引上げに国民の理解が得られるよう、引き続きしっかり取り組んで行く。

 

一方、今回の提案は「少子化対策は待ったなし」という観点から、さらなる少子化対策として、幼児教育・保育の実質無償化に向けた道筋を検討するもの。

 

 

問9.保育所が足りないことこそ問題。児童手当の上乗せより、まず待機児童の解消に全力を上げるべきではないか。

 

児童手当の上乗せは、あくまで考えられる使途の1つとして例示したもの。ご指摘のとおり、保育サービスの拡充に使用することも一案。

 

政府としても、待機児童の速やかな解消に向けて全力を上げており、消費税引上げにより講じることとしていた方策のうち、一部前倒しで実施している。更に財源が必要となれば、こども保険から支出することも考えられる。

 

一方、今回の提案の肝は、待機児童の解消の先にある、より幅の広い、踏み込んだ少子化対策であり、中長期的には、こども保険により、幼児教育・保育の実質無償化を進めることを視野に入れている。

(注)なお、「保険」の性質に着目すると、受益と負担の関係が見えやすい個人補助の方が適切であることに留意が必要。

 

 

問10.こども保険給付金は、高所得者にも支給するのか。所得制限をつけるべきではないか。

 

今回お示した使途はあくまで例示であり、詳細は、今後検討していく段階。

 

ただし、社会保険の基本的な仕組みとしては、高所得者も含め、負担していただいた方には給付することが必要と考えている。子どもがいれば必ず支援されるという分かりやすい制度にすることで、子育て支援に対する国の本気度も伝わりやすくなると考える。

 

なお、年金や医療・介護等の他の社会保険でも、高所得者について、給付の制限は行っていないと承知している。

(注)医療や介護では、高所得者に対する給付の制限は行っていないが、相応の自己負担は求められる仕組み。

以上です。

 

これを機に少子化対策・子育て支援の強化に向けて責任ある財源をどうつくっていくかを国民全体で考える機会にしていければと思っています。