提言全文:資産運用立国2.0に向けた提言
資産運用立国2.0に向けた提言
令和7年4月23日
資産運用立国議員連盟
岸田内閣以降の3年半、自由民主党は、政府と一体となり、金融面から「成長と分配の好循環」の実現を後押しし、我が国経済の持続的な成長に貢献することを目指して資産運用立国の施策を推進してきた。これまで取り組んだNISAの抜本的拡充・恒久化、コーポレートガバナンス改革、資産運用業やアセットオーナーシップの改革といった幅広い施策は着実に進展し、「貯蓄から投資へ」の流れも動き始めており、国内外の投資家や若い世代から高い評価を得ている。
しかし、資産運用立国を実現するにはいまだ道半ばであり、これまでの改革の流れを止めてはならない。家計、企業、金融商品の販売会社、資産運用会社、アセットオーナーなど、インベストメント・チェーンを構成する各主体に対する働きかけをより一層効果的なものとするためには、今が正念場である。
日本の資本市場を「国内の人々が海外にも投資し、世界からも投資を呼び込む双方向のプラットフォーム」にすべく、資産運用を軸にした経済社会の構造改革を更に推進すべきである。少子高齢化が進む日本においては、グローバルな視野を持ち、世界の成長の果実を積極的に取り込むことが欠かせない。幅広い世代の国民がリスクを十分に理解したうえで、資産の多寡にかかわらず、多様な商品やサービスを通じて資産を運用できる環境を整えることにより、経済成長を力強く後押しし、国民全体がその果実を広く享受できるような国を築いていく。
国内市場は「金利のある世界」へと移行し、国際的にも各国の政治動向や地政学的リスクといった不確実性にマーケットが直面するなど、今はまさに歴史的な金融・経済環境の転換点にある。資産運用立国の施策を推進し、国民の長期・安定的な資産形成を支援していくことの重要性はますます高まっている。
当議連は、昨年11月の発足直後、緊急提言をとりまとめ、確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)・NISAの改革や政府の推進体制の強化を訴えた。これらは早速の成果を生み出した。
今後とも投資家のニーズや経済・金融環境の変化に応じて、政官民が一体となって更に改革を推進するとともに、そうした改革の継続意思を内外の関係者に向けて強力に発信していかなければならない。引き続き、責任与党たる自由民主党として、資産運用立国の施策を通じた日本経済の変革を目指し、関係者の議論を牽引していく。
こうした問題意識の下、以下のとおり、今後取り組むべき施策を提言する。
【資産運用立国の更なる推進】
・ 昨年11月の当議連の緊急提言を踏まえ、資産運用立国の推進に関する政府横断的な司令塔として、内閣官房新しい資本主義実現会議の下に「資産運用立国推進分科会」が設置された。この分科会において、本年10月のJapan Weeksに向けて、資産運用立国に関する成果や追加的な施策、既存の施策の改善・実質化等を取りまとめることで、資産運用立国の実現に向けたモメンタムを維持し、更に強化していくべきである。
・ このため、下記に掲げる施策を実行していくに当たり、内閣官房において「資産運用立国実現プラン2.0」を作成・公表すべきである。
・ 金融庁は他省庁等とも連携し、本年10月のJapan Weeksの開催をはじめ、日本市場の魅力等に関する海外向け情報発信を充実させるべきである。また、資産運用フォーラムにおいて、資産運用業の高度化に向けて、オルタナティブ投資・日本企業の価値向上と地方を含めた日本への投資促進・資産運用業のDX・サステナブルファイナンスに関する議論を行い、国内外の資産運用会社等の知見を踏まえた成果物を、Japan Weeks期間中に開催される同フォーラムの年次会合でとりまとめるべきである。
・ 上述の「資産運用立国推進分科会」の設置、金融庁における資産運用課の設置に加えて、上記の資産運用立国に向けた改革を実現していくため、引き続き政府の推進体制の強化に取り組むべきである。
・ 本提言にある多数の施策の推進を担う金融庁は、新たに設置された組織であるがゆえに局や課等の機構が少ないが、経済・金融環境の変化により増加する課題に応じた更なる体制強化が不可欠である。このため、既存の省庁内の機構のスクラップ&ビルドに固執した硬直的な考え方を踏襲することなく、抜本的な組織拡充を行うべきである。
【家計の安定的な資産形成】
(1)若者から高齢者まで全世代の国民が金融リテラシーを向上させながら、一人一人のライフプランに沿った形で資産形成を行うための環境整備
・ 家計の収支管理やライフプランの設計・点検を容易に行えるよう、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の個別相談等の現場で活用することも念頭に、必要に応じてマイナンバーとの情報の紐づけも検討しつつ、個人が自身の金融資産やキャッシュフロー等の状況を容易に把握できるためのデータ集約の仕組みを整えるなど、年金も含めた金融情報の「見える化」の環境整備を進めるべきである。
・ 職域における金融経済教育の提供を浸透させる観点から、各省庁はJ-FLECと連携しつつ、所管分野の関係企業や経済団体に対する周知広報に取り組むとともに、全企業の範となるよう、本省庁及び地方部局における金融経済教育研修を導入すべきである。
・ 地域によって金融経済教育の取組に濃淡が見られる中で、全国津々浦々に教育の機会を提供するため、J-FLECは地方における活動の底上げを図るべきである。あわせて、投資を始めたばかりの方を含め、分かりやすく信頼できる情報発信の強化にも取り組むべきである。
・ 確定拠出年金(iDeCo及び企業型DC)については、令和7年度税制改正大綱において拠出限度額の引上げが盛り込まれたが、老後に向けた資産形成を促進する観点からは、昨年11月に当議連が緊急提言を行った水準(第1号被保険者は月20万円・その他は月10万円)に向けて、キャッチアップ拠出の創設を含め、今後も更なる引上げを進めるべきである。
・ 企業型DCについて、足元の物価が上昇する市場環境下において、元本確保型商品で運用するリスクはこれまで以上に高まっていることを踏まえ、事業主はそうしたリスクを加入者に対してより丁寧に説明するとともに、必要に応じて指定運用方法の構成の見直しを検討するよう、厚労省は促すべきである。
・ 確定拠出年金については、NISAと比較して多数の主体が関与する複雑かつ高コストな制度となっていることを踏まえ、厚労省は、内閣官房や金融庁など関係省庁の協力の下、iDeCoにおけるプラットフォームとしての国民年金基金連合会の役割を含め、制度の在り方及び大胆な改革について、本年度中に検討に着手し、可及的速やかに結論を得た上で、抜本的な手続の簡素化や手数料改善を速やかに実施すべきである。
・ 企業年金(DB及びDC)の運用状況等の情報を他社と比較できる「見える化」に向け、厚労省が情報を集約し公表することとされているが、厚労省は必要に応じてデジタル庁とも連携しながら、その早期実現を図るべきである。
・ 個人投資家が投資しやすい環境を整備するため、デジタル技術の進展を踏まえつつ、東証は上場株式の投資単位の更なる引下げに向けた検討を進めるべきである。
・ NISAの更なる利便性向上に向けて、政府は、対象商品の多様化を検討すべきである。
(2)高齢者が安心して長生きできる社会を金融面から支えるための環境整備
・ 長寿化の進展により高齢期に向けた資産形成・管理の重要性が高まっている中で、個々人がライフステージの各段階で適切な金融サービスが選択できるよう、J-FLECにおいては、シニア層をターゲットとしたイベントの積極的な開催を進めるほか、企業・地域コミュニティ等と連携の上、お金の学びを得る機会や個別相談を受ける機会の増加に向けた周知広報など、金融リテラシーの向上に向けた取組を更に工夫・強化すべきである。また、高齢顧客保護の観点から、詐欺被害対策を含め、金融経済教育を徹底すべきである。
・ 高齢者が物価上昇の下でも、投資のメリットを受けつつ、生涯にわたって計画的に運用資産を活用して生活に充てることができるよう、高齢者に限定して対象商品の拡大・スイッチング解禁を図る「プラチナNISA」の導入など、政府は退職世代向けの資産運用サービスの充実に取り組むべきである。
・ 高齢顧客の将来的な認知判断能力の低下に備え、親族等の代理取引を可能とする金融サービスである「家族サポート証券口座」の普及促進など、金融業界における高齢顧客の様々な課題やニーズに寄り添った丁寧な対応を金融庁は業界団体とともに促すべきである。
(3)若年世代から資産形成に取り組むことを促進するための環境整備
・ 子育て支援・少子化対策の一環として、若年層の資産形成の推進のため、政府はつみたて投資枠に限り投資可能年齢の下限を撤廃し、早期からの投資を可能とする「こども支援NISA」を導入すべきである。
・ 学習指導要領の改訂については、昨年末に中央教育審議会に諮問がなされたが、学校における金融経済教育を推進する観点から、文部科学省は、金融庁・J-FLECと連携しつつ、「長期・積立・分散投資」やインフレ時の資産管理の重要性への言及など、次期学習指導要領における金融リテラシーの向上に資する記載の一層の拡充について検討すべきである。
【中小企業等の成長に資する金融サービスの充実と多様な資産運用商品の提供】
(1)スタートアップ投資等の更なる推進
・ スタートアップへの成長資金供給を加速させる観点から、政府は、国内VCへの投資の障壁となっているPE(恒久的施設)課税特例について、グローバル標準に向けて緩和するとともに透明化を図るべきである。また、海外投資家からスタートアップへの投資を促進するため、LPS(投資事業有限責任組合)に関する制度を海外投資家にとっても分かりやすいものになるよう、経産省は金融庁等の関係省庁と連携して検討を開始すべきである。
・ スタートアップのM&Aを阻害している日本ののれんの会計基準について、関係者において、同会計基準の見直しに向け、早期に適切な議論を行い、結論を得るべきである。また、金融庁においても議論をフォローアップすべきである。
・ また、オープンイノベーション促進税制において、スタートアップの出口の多様化と更なる成長のためのM&Aや出資を促進すべきである。
・ 高い成長を目指すスタートアップ企業への持続的な成長投資を後押しするためには、以上を通じたレイターステージを含む資金供給の充実に加えて、東証グロース市場の機能強化を図ることも重要である。このため、東証は同市場の上場企業による投資家への情報発信に対する支援や、IPOを支援する関係者の連携強化、更には上場企業が成長に取り組むことへのサポート等とあわせて、同市場の上場維持基準の見直しを行うべきである。これらの取組は、スタートアップ企業のIPOに対する投資家の信頼醸成とともに、資産運用業者による質の高いグロースファンドの提供にも繋がっていくことが期待される。
・ GPIF及び共済組合等においては、受益者等の利益に資する観点から、特定のアセットクラスに偏ることなく、国内のPE・VCを含め、オルタナティブ資産への投資を引き上げていくべきである。
・ 顧客ニーズに応じて、業態の垣根を越えて金融グループとして高度で多様な金融サービスを一体的に提供することは、顧客利便に資するものである。この観点から、金融庁は銀証ファイアーウォール規制の見直しを着実に進めるべきである。その前提として、金融機関において、顧客情報管理や、利益相反管理、優越的地位の濫用防止が適切に図られるべきである。
・ 金融グループによる資金供給の円滑化を図る観点から、金融庁は金融機関の投資専門子会社の投資対象の拡充を検討するとともに、金融庁・法務省は、新株予約権付融資における新株予約権の利息制限法等における論点について金融機関等を交えて検討を進めるべきである。また、大規模なM&A資金への対応など一時的な巨額の資金需要に対応するため、金融庁は大口信用供与等規制における一時的な限度額の超過許容を検討すべきである。
・ プロ投資家(特定投資家)によるスタートアップ企業の株式(非上場株式)への投資の活性化の観点から、米国並みの資金調達環境を整備するために昨年の経済対策で打ち出された「日本版ルール506」について、本年2月にはプロ投資家向け私募制度においてインターネットを含む様々な媒体による勧誘等が可能となり、また3月には個人がプロ投資家になるための要件の更なる明確化などが行われたところである。引き続き、プロ投資家からの資金調達を促進するため、金融庁はプロ投資家に対して制度の周知を図るとともに、日本証券業協会は、投資家保護に留意しつつ市場関係者のニーズ等を踏まえ、証券会社による非上場株式の勧誘が原則禁止されている自主規制を見直すべきである。このほか、金融庁は発行開示書類の届出免除基準額の見直しを図るべきである。
(2)インパクト投資市場の拡大に向けた取組
・ インパクト投資の案件創出に向けて、インパクトの測定・管理に必要な指標・データの整備やインパクト投資の手法・取組事例の普及を通じた担い手拡大、インパクトスタートアップに対する事業会社による連携・投資等を促進すべきである。
・ インパクトの可視化・ビジネス構築等への支援強化等によるローカル・ゼブラ企業等の育成や、公共調達等におけるスタートアップと自治体の連携促進等を図るための環境整備を進めるべきである。
(3)運用対象資産等の多様化の更なる推進
・ 経済安全保障や日本の産業力強化の観点から国内でデータセンター等を整備する需要が高まっている。政府においてはデータセンターと発電所を一体で整備する「ワット・ビット連携」構想を打ち出し、データセンターの地方への分散化を図ることにより、GXとDXの両立や地方創生の推進を目指している。こうした動きを踏まえ、国内のデータセンター投資を促進しつつ不動産を含む多様な運用手段の提供を図るため、金融庁は、REIT(不動産投資信託)の保有資産として、データセンター等を組み入れるための環境整備を行うべきである。あわせて、金融庁や東証は、再生可能エネルギー発電設備への投資を含む上場インフラファンド市場の活性化に引き続き取り組むべきである。
・ 企業価値担保融資の制度が来年創設されることを踏まえ、プライベートクレジットの促進に向けて、金融庁は、具体的な契約のひな形の統一など様々な実務上の課題を整理することで、企業価値担保融資の活用を後押しし、ベンチャーデットやレバレッジドローンなどの成長融資の活性化・市場化を目指すべきである。
【企業価値の向上・コーポレートガバナンス】
・ コーポレートガバナンス改革を引き続き推し進めることにより、中長期的な企業価値の向上を更に後押しするとともに、企業による積極投資を促進し、価値向上による果実を家計を含めた主体に広く及ぼしていくことが重要である。このため、金融庁は、コーポレートガバナンスに関する新たな政策パッケージを取りまとめるべきである。
・ 金融担当大臣から全上場企業に対する「株主総会前の適切な情報提供に係る要請」を踏まえ、金融庁は実態把握をするとともに、法務省及び経済産業省においても、有価証券報告書の株主総会前の開示に向けた環境整備に向け取組を進めるべきである。
・ 中長期的な企業価値の向上に資するサステナビリティを巡る取組の開示に対する投資家のニーズを踏まえ、金融庁は、規模の大きい上場企業におけるサステナビリティ情報の開示・保証に係る制度整備を図るべきである。
・ PE投資において、報酬制度等を活用して投資先の従業員に対して企業のオーナーシップを付与することで、従業員の会社に対するエンゲージメントを高め、ファンドによる投資リターンを従業員へ還元する例が見られるところである。こうした取組を広く日本の企業に普及させることで、従業員の士気向上や中長期的な企業価値の向上につなげるべきである。
【資産運用業・アセットオーナーシップの更なる高度化】
(1)資産運用業の高度化
・ 金融庁は、来年4月に予定されている日本投資顧問業協会と投資信託協会の統合を契機として、新しい協会と連携し、日本に、世界の資産運用会社と質・量ともに伍していける会社が生まれるよう、以下の取組を通じて業界の変革を進めるべきである。
・ 昨年11月の当議連の緊急提言により、金融庁に新たに資産運用課が設置されることとなったことを踏まえ、資産運用ビジネスの高度化に向けて、大手金融機関グループにおける資産運用力向上等に関する取組のフォローアップを行い、各社に継続的な深化を求め、業界の変革を後押しすべきである。
・ 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP)の施策が更に加速するよう、金融庁は、EMPに係る取組事例のフォローアップを行うなど、大手金融機関に対して新興運用業者の活用への働きかけを引き続き行うとともに、アセットオーナーとベンチャーキャピタルの間の相互理解の促進に向けて取り組むべきである。
・ ベンチャー投資を含めアクティブ運用においては、優れた企業の目利きができる人材を質・量ともに充実させることが不可欠である。各産業に通じた人材、特に、ディープテックやバイオの専門人材が育つことは、各産業の成長支援・優良企業への投資促進にも繋がっていくことから、金融庁は、バイサイドのアナリストをはじめとする資産運用業界の人材の充実に向けた実態把握を進めるべきである。
・ 資産運用を支えるバックヤードの業務・システムについて、カストディアン(資産管理信託銀行)・レコードキーパー(確定拠出年金の記録関連運営管理機関)・システムベンダーなどの様々な関係者が存在し、その内容が複雑化・高コスト化しているとの指摘もある中で、金融庁は資産運用のインフラとなっている業務・システムの合理化に向けた実態把握を進めるべきである。
・ 資産運用ビジネスの高度化に向けて、金融庁はアセットオーナーを支える金融機関等に対するモニタリングの更なる強化を図るべきである。
・ 生成AIやブロックチェーン等の新たな技術の登場を踏まえ、資産運用業の高度化への将来的な活用に向けて、官民で検討を進めるべきである。
・ 金融・資産運用特区については、昨年6月に取りまとめられた「金融・資産運用特区実現パッケージ」に沿って、北海道・東京・大阪・福岡の4地域を対象地域に決定し、国内外の金融・資産運用業者の集積や地域の産業・企業の育成支援に向けた規制改革等に取り組んできた。こうした取組を特区地域への金融・資産運用業者の新規参入につなげるべく、4地域と連携して対外的な発信強化のためのプロモーション施策を実施し、日本市場の魅力の積極的な発信や関係者間の対話を充実させるべきである。あわせて、海外からの新規参入事業者への創業支援の取組を継続すべきである。
(2)アセットオーナーシップ改革の更なる推進
・ アセットオーナーの資産運用の高度化に向けた指針ともなるアセットオーナー・プリンシプル(昨年8月策定)については、3月末時点で185主体に受け入れられている状況である。関係省庁は引き続き周知を進め、プリンシプルの受入れを更に進めるとともに、各アセットオーナー自身による運用の点検を通じて、資産運用の高度化に向けた取組を後押ししていくべきである。
・ GPIF及び共済組合等においては、受益者等の利益に資する観点から、特定のアセットクラスに偏ることなく、国内のPE・VCを含め、オルタナティブ資産への投資を引き上げていくべきである(再掲)。
・ 国立大学法人、公立大学法人及び学校法人については、海外では基金の運用によって運営資金の確保等が行われていることを踏まえ、文部科学省・総務省において、ポートフォリオをはじめとする資産運用・資産管理に係る実態把握を進めるとともに、国立大学法人、公立大学法人及び学校法人におけるアセットオーナー・プリンシプルの検討状況を年末を目途に整理すべきである。特に、文部科学省による国際卓越研究大学の認可における体制整備の判断に際しては、今後、アセットオーナー・プリンシプルの受入れを要件に盛り込むべきである。
・ 確定給付型年金(DB)について、アセットオーナー・プリンシプルの受入れを更に進めていくべきである。また、給付のあり方等は労使で検討されるべきものであるが、加入者の退職後の生活におけるインフレ抵抗力が確保されるよう、DBの運用のあり方を含め、厚労省は好事例を整理・公表すべきである。