国立公園とインバウンド戦略
3月16日は1934年に日本初の国立公園として瀬戸内海・雲仙・霧島の3箇所が指定されたことに由来する国立公園指定記念日でした。私の地元福山は瀬戸内海国立公園に位置しており、昔から国立公園の自然を満喫してきました。改めて日本の誇る自然の豊かさに目を向けてもらえたらと、YouTubeチャンネルでも紹介しているので、ぜひ見てください。
日本には数多くの自然公園があり、国立公園は35ヶ所、国定公園は58ヶ所、都道府県立自然公園は310ヶ所、その3つを合わせた面積は国土の約15%を占めており、そのどれもが日本を代表する景色であり、守るべき日本の自然を保持しています。
国立公園を含む自然公園は現在副大臣を務める環境省が所管しており、自然公園法によってその保護や整備、振興を行っています。
地域の理解を得つつ、それぞれの公園の特性に合わせて、官だけでなく民間の力も活用することで、保全を行いながら、多くの方に足を運んでいただけるように整備を進めています。
そして、2023年の国立公園全体の訪日外国人の実利用者数は約585万人と海外の方も多く足を運んでいることから、公園内の案内の多言語化も進んでいます。日本を訪れる際に何を期待するかという観光庁の調査でも、49.4%の方が自然・景勝地観光と回答しており、今後のインバウンド戦略においても重要な役割を担うと考えています。

昨年の我が国のインバウンドは3,300万人を超え、2030年には6,000万人、消費額15兆円超の目標を前倒しで達成することが見えてきています。その様な中で、一部地域に観光客が集中するオーバーツーリズムへの対応も必須です。
空港の利用者数では、入国者のうちの81%が成田、羽田、関西国際空港、福岡空港を利用しています。6,000万人を見据えた際、残りの2,700万人をこの4箇所の空港では当然受け止め切れません。そこに地方創生のチャンスがあります。残りの2,700万人を全国の地方空港で受け止めるという戦略が必要です。

国立公園は日本の北海道から沖縄まで各地に広がっています。例えば福山であれば広島空港にダイレクトで世界中の国々から来ていただき、その人たちを瀬戸内で受け止め、様々な食や体験、文化を楽しんでもらうことができ、幅広い業種で売り上げアップを見込めます。
この新たな観光戦略のためには、地方空港と海外都市を結ぶ路線の開拓を官民で積極的に進めていくとともに、周辺の交通インフラを含めた地域全体の環境整備が重要になります。
例えば飲食店等の多言語対応です。既に各地の飲食店でモバイルオーダーが活用されており、世界中の人々が自分のスマートフォンで様々な言語のメニューを確認して注文が出来るようになっています。その様なシステムを導入するにあたっては支援策も用意しています。
それ以外にもスマートフォンで無料で使える翻訳アプリなどが沢山あり、飲食店に限らず、剣道や弓道、茶道など、様々な文化体験を提供する際にも活用できます。各地の文化活動でも習い事をする方が減少していて、運営が厳しいという声をいただきますが、一方で、観光客を対象とした体験サービスを新たな収益源として成長しているところもあるので、ぜひこの機会に考えてみてください。
人口が減っていくこれからの日本では、製品・サービスの高付加価値化が必須です。その際、既存の製品やサービスはもちろん、地域の文化や自然も、世界から見れば価値あるものになります。
みんなで改めて新しい視点を持って地域を見つめ直し、私たちが持つ可能性と価値を最大化していきましょう。引き続き様々な政策で新たな成長の機会を手にすることが出来るよう、私も全力で取り組んでいきます。