社会保障、漁業、電波…改革が芽吹き始めた2017年
年の瀬も迫る中、テレビも新聞もネットも「十大ニュース」のように2017年を振り返る特集が目立ってきました。私自身にとっては今年は、初当選から5年、種を蒔いてきた政策が芽吹き始めた印象深い年になりました。この場で1年間を振り返ってみたいと思います。
【ネット投票実現に向けた検討開始】
前回のブログで取り上げたネット投票の検討会ですが、野田大臣が19日の記者会見で正式に発表しました(時事通信で報じられました)。
第1回の会合は今朝、12月26日に行い、私は福山からweb会議で参加。論点としては「電子投票・ネット投票の検討」「選挙公報のデジタル化」「不在者投票の利便性向上」「障害者など投票しづらい方の投票環境見直し」「在外邦人の投票環境見直し」「本人確認へのマイナンバーカード活用」などを考えています。
党時代から提案してきた者として、「研究・検討」ではなく「結論」を出すべく、責任感を持って取り組んでいきたいと思います。
関連ブログ:誰のためのネット投票か?忘れてはならない視点
【こども保険構想】
「2020年以降の経済財政構想小委員会」(通称・小泉小委員会)で議論をする中で、私たち若手議員が提案までこぎつけたのが「こども保険構想」でした。
社会保険方式で子育てにかかる財源を確保するという世界的にも初の試みです。こども保険を導入することで、社会保険料を世代横断的に議論する新たなフレームワークを設定し、医療介護の改革とこどものための財源確保を同時に進めるという構想でした。
政府の結論としては、保険料方式ではなく、消費税と企業拠出金という手法になりましたが、こども保険構想の目指した社会像を反映し、社会全体で子育てを支える仕組みとなりました。子育てに関わる経済的・時間的・精神的な負担を少しでも解消できるよう引き続き提起していきます。
(こども保険の議論の経緯は、小委員会のオブザーバーを務めた藤沢烈さんの新刊「人生100年時代の国家戦略」で詳しく紹介されています。ぜひご覧ください)
【待機児童問題】
そして、将来世代を支える施策として、先の衆院選でお約束したのが「2兆円パッケージ」。消費税増税で財源を確保したあとの2020年度末までに32万人分の保育の受け皿を整備し、3〜5歳児の幼稚園・保育園の無償化などを盛り込み、今月8日、閣議決定されました。
しかし、課題も多く残りました。来年の夏に向けて対象範囲について議論が進んでいきますので、幼児教育・保育無償化VS待機児童解消という対立構図に陥らずになんとか両方達成できるように、子育て世代の皆さんと声をあげていきたいと思います。また、32万人を超える潜在的待機児童への対応についても、来年も引き続き取り組んでいきます。
関連ブログ:子育てを社会全体で支える時代へ、小池都政に期待する2兆円“貯金”の投資
【電波改革】
国民の貴重な共有財産である電波を巡る改革が、大きく動き出す兆しが見えた年でもありました。自民党の行政改革推進本部の本部長補佐として、5月に公共周波数の民間開放に関する緊急提言を政府に申し入れ、11月末には、政府の規制改革推進会議が11月末、電波の有効利用を盛り込んだ答申を安倍総理に提出しました。
その後、私自身が総務大臣政務官として電波改革を担当することとなりました。早速、防衛省の保有する周波数帯を移行し、民間開放を決定したところ、12月に入ってから、楽天が携帯キャリア参入を目指し、4G周波数帯の割り当てを申請することを表明して話題になっています。
IoTや自動運転、ドローンなどの「第4次産業革命」の時代到来を見据え、国民の共有財産である電波を利用するプレイヤーから適正な利用料を得たかたちで、どう活用するか、来年の議論は正念場を迎えます。
関連ブログ:動き始めた電波改革:本当に大事なこと
【漁業の規制見直し】
電波改革と一緒に、自民党の行革本部では区画漁業権の運用見直しについて政府に申し入れました。日本の水産業は、担い手の漁師の高齢化が進んで危機的な状況でありながら、参入障壁が高い状態が続いています。
クロマグロ養殖業や真珠養殖業などの区画漁業権の運用を、漁協が行政から任されているのですが、企業がせっかく参入を希望しても高額な漁業権行使料などを徴収するような事態が明らかになっていました。
運用の透明化、参入ルールの適正化を進め、新規参入による漁業と沿岸地域の活性化を促していけるよう、引き続き声をあげていきたいと思います。
関連ブログ:『区画漁業権の運用見直し』の提言について記者会見しました
【宏池会60周年】
私が所属する政策集団「宏池会」が今年60周年を迎え、7月4日にシンポジウムを開催しました。政策集団の集まりといえば、政治資金パーティーが通例ですが、外部の方々を多数お招きしてシンポジウムという形式の企画は初めてのことでした。
創設者である池田勇人総理の所得倍増計画に代表される、宏池会が日本の発展に寄与してきた歴史と伝統に思いをはせつつ、シンポジウムのテーマとして『21世紀の持続可能な資本主義』を掲げ、格差の問題や社会の多様性にどう向き合っていくか展望する貴重な時間になりました。
関連ブログ:『21世紀の持続可能な資本主義』 宏池会60周年記念シンポジウムのご報告
【総選挙】
12日間、福山の皆さまと向き合う中で、励ましの声も、厳しい声も、たくさんいただきました。選挙戦では「実感をその手に。ともに前へ」というテーマを掲げました。政治家の独断の100歩ではなく、1億2千万国民の納得の一歩でこの国を前に進めたい。そんな想いを込めました。来年も国政、地元それぞれの課題にしっかり向き合ってまいります。
【関連ブログ】 第48回衆議院議員総選挙 3期目当選のご報告
■お知らせ
私たち若手議員の取組みを描いた本が出版されました。一昨年の年末、高齢者への3万円の給付に私や小泉議員が異論を唱えたところからスタートし、 高木 新平 (Takagi Shimpei) 君に手伝ってもらった「レールからの解放」・「厚労省分割案」・「人生100年時代の社会保障へ」、そして「こども保険」構想へとつながっていった500日。同世代の民間有識者の同志と2020年以降の未来を見据えて議論したいという想いでサポートをお願いし、最後まで粘り強く伴走してくれたRCF 藤沢 烈 (Retz Fujisawa)さんの著書です。
普段テレビや新聞で報道されない、議員の政策立案過程のリアルな姿が見て取れる貴重な本だと思います。ぜひ読んで見てください。