2014年8月10日 69回目の原爆忌を迎えて(8月の太陽新聞への寄稿文転載)
■地元新聞への寄稿文を転載させていただきます。
8月6日、忘れることのできない、忘れてはならないあの日が、また訪れました。69回目の原爆忌。暦だけ数えれば長い年月が過ぎましたが、私たちの心に刻まれた思いが風化することはありません。
今年の平和祈念式典は、43年ぶりに雨天の中で開催されました。私も約4万5000人の参列者の皆様とともに、あの日の悲劇を振り返るとともに、戦後一貫して私たちが平和を享受できていることのありがたみ、そして、この平和をこれからも何としても守り抜かなければならないという思いを新たにしました。それが、慰霊碑に名簿が納められている29万人を超える犠牲者の方々と、今も全国に約19万人いる被爆者の方々に対し、私たちが果たす責務だと考えます。
平和を守るために、なすべきことはなんでしょう。人類史上類を見ない凄絶な経験をした広島県民は、世界中の誰よりも平和を祈り、願うことの大切さを知っています。しかし、祈るだけでは恒久の平和は決してやって来ないのも冷酷な現実です。
今、世界には1万発を超える核弾頭が存在しています。わが国の周辺でもアメリカ、ロシア、中国が核兵器を所有していて、中国は今も核戦力を強化しながら、我が国の領土・領海を手に入れようと力を背景にした干渉を毎日のように繰り返しています。また、北朝鮮は国際社会で孤立することも厭わず、核やミサイルの開発を続けています。核兵器を廃絶し、核のない世界を実現することを願い、皆が心を一つにするのは本当に尊いことです。
しかし、刻々と変化する今の環境では、現実的な安全保障のあり方も考えなくてはなりません。核を保有・開発している国が実際に使用する暴挙に出ないように、国際社会が結束して抑止を訴えることや、他国の不当な干渉を実際の紛争へと激化させないために、干渉に屈しない毅然とした態度を貫くことが必要です。
得難いからこそ価値のある平和をいかに実現し、守っていくか。現実的な対策を取りながら、いかに理想に向けて一歩ずつ前進するか。それを考え、実行することが政治家としての役目だと考えています。