第213通常国会開会。政治刷新本部中間取りまとめのご報告。
先週金曜日、第213通常国会が召集されました。会期は6月23日までの150日間の予定で、能登半島地震の復旧・復興、賃上げに向けた価格転嫁対策、少子化対策という喫緊の課題に関する議論はもちろん、懸案の自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治資金の問題や政治改革が大きな論点になると思っています。今日は、政治資金問題をテーマとする衆参両院の予算委員会集中審議があり、明日30日、岸田総理の施政方針演説があります。
年末にこの問題が顕在化してすぐに党内に政治刷新本部が設立され、私も事務局を担い、改革案の策定に取り組んでいます。発端は、複数の政策集団の政治資金パーティの収支の取り扱いに関する政治資金規正法違反の疑いですので、再発防止に向けて、違反した場合の政治家に対する厳罰化や現金取り扱いの禁止、政策集団自体の見直しなどを中心に議論しています。
議論の途中で、宏池会を皮切りにほとんどの派閥が解散することを表明しました。派閥の解散は、昨今の不記載を始めとする政治資金の問題の本質的な解決ではないものの、不記載があったことへのけじめをつけ、改革を進めていく上では必要な対応だったと考えています。また、中選挙区制から小選挙区制に移行して、政治改革を進めようとした当時から、延々とやり残してしまった国政の構造上の問題を解決することにも繋がっていきます。
これからの議論は今回の政治資金の問題だけにとどまらず、党および政治の信頼回復に向けて幅広く議論する予定です。私としては、少なくとも公の政党として、上場企業が求められているものと同等のガバナンスを効かせることが必要ですし、問題が起こった場合に、政治家自身が責任をとる制度にする必要があると考えています。
改革案については、国会開会に先立ち、党政治刷新本部による中間取りまとめを公開しました。 このブログの文末にも掲載しています。
この改革案の「中間取りまとめ」は”第一弾”です。法改正が必要なことなどは与野党で合意する必要があり、時間がかかるものもありますので、着手できることから順次進めていきます。この後、今日からの国会議論を始めとする他党との議論はもちろん、外部有識者を含め、国民の皆さんの声を聞きながら、今国会期間内に次なる改革案をまとめていきます。
2年半前、総裁選を戦った岸田さんの最初に掲げた公約は党改革でした。これまでの期間で当時想定していた、党役員の任期上限規定やガバナンスコードの策定、女性議員の育成登用計画など改革を進めてきましたが、改めて原点に立ち戻って、この機会に国政の構造的な問題に向き合い、信頼回復はもちろん、多くの人が参画したいと思える政治制度を目指し、その足がかりとなる改革案にしたいと思います。
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中間とりまとめ
(国民の信頼回復に向けて)
令和6年1月25日
自由民主党
政治刷新本部
1.お詫びと決意
今般、自民党の政策集団における政治資金パーティーにおいて政治資金規正法違反の 不透明、不適切な会計処理が指摘され、特定の政策集団の行為により、自民党全体に国 民の厳しい目、強い疑念が向けられている。党の先人達は、平成元年の「政治改革大綱」 において、「『政治は国民のもの』と宣言した立党の原点にかえり、党の再生をなしとげ て、国民の信頼回復をはたさなければならない」と決意し、様々な改革を進めてきた。 にもかかわらず、わが党所属議員の逮捕をはじめ今回の一連の事態が生じたことについ て、自民党として真摯に反省するとともに、国民に深くお詫びを申し上げる。
政治家の倫理性が強く問われている。今後、関係者による明確な説明責任に加え、あるべき政治責任についても結論を得る。その上で、改めて「政治は国民のもの」との自民党立党の原点に立ち返り、わが党自らが変わらなければならない。
元旦に能登半島地震が発生した。わが党挙げて被災地の一刻も早い復旧・復興に取り 組まねばならない。加えて、本年は、30年ぶりの千載一遇のチャンスを迎えているデ フレ脱却への取組、更なる賃上げや、次元の異なる少子化対策の推進などの先送りでき ない課題へ対応すべく、政治の実行力が求められている局面である。また、国際的にみても本年は世界各国で首脳級の選挙が行われ、国際情勢が流動化しかねないなかで、日本の政治の安定が求められている。しかし、「信なくばたたず」。求められている政治の安定の下での政策の実行のためには国民の信頼が不可欠である。だからこそ、わが党は解体的な出直しを図り、全く新しく生まれ変わるとの覚悟で、信頼回復に向けた取組を 進めなければならない。このため、1 月 10 日、自民党総裁を本部長として、政治刷新本 部を立上げ、外部有識者から忌憚のない意見を賜り、全国会議員が参加し全国各地で各議員が聞いた国民の声をもとに聖域なく議論を行い、まず以下の取組をまとめた。
2.政治資金の透明性の徹底
政治資金は、その出し手・受け手の双方にとって政治活動の自由を保障するものであり、民主主義の重要な構成要素である。しかし、その政治資金の運用に疑義が生じ、国民の信頼が失われれば、わが国民主主義の基盤が揺らぐこととなる。国民の信頼回復に向け、不断の改革努力が求められる中で、まずは今回の問題の発端となったパーティー収支、政治資金の透明性の向上、及び適切な会計処理・報告に向けた、①運用面及び②制度面双方の改革と再発防止策を、以下のとおり早急に進めることとする。
(1)わが党としての運用面での取り組み
①政策集団による政治資金パーティーの禁止及び外部監査の導入
わが党に対する国民の信頼を回復する第一歩は、今回の事案の原因を大もとから断 つことである。すなわち、一部において不正行為の温床となった政策集団(政策研究 団体)の政治資金パーティーは全面的に禁止する。加えて、政策集団(政策研究団体) の収支報告書の提出にあたり、外部監査を義務付ける。
②コンプライアンスの徹底
今回の一連の問題のそもそもの原因は、現行の法律ですら遵守が徹底されていなかったこと、すなわちコンプライアンスの欠如にある。そして、問題が発生した際に、 関係者から説明がなかったこと。併せて、そうした関係者に対して党として責任を持った対応が図られて来なかったことが国民の不信感を増幅させた事実も否めない。まず、党として、コンプライアンスの強化を図るため、運用面におけるわが党自らの取 組として、以下のとおり、政治資金規正法等の遵守を徹底する。
- 党所属議員に対し、会計責任者の選任及び監督義務を果させるべく、党において 党所属議員・会計責任者双方に定期的な研修を課すとともに、政治資金報告書作成の経緯を書面で保存することを求める。
- 政治資金規正法違反が問題とされた党所属議員や政策グループにつき、党として すみやかな説明責任を尽くし必要な政治責任を果たすことを求める。更に、今後、 個人及び組織において、党規律規約で定める倫理憲章等の規定に違反する行為を したと思われる場合についても同様とし、これらの点を党規約およびガバナンス コードに明記する。
- 逮捕、起訴等の事態となった議員につき、党規約等において除名処分等の規定をより厳格化するよう改正する。
- 会計責任者が逮捕、起訴等の事態になった場合、その団体の代表を務める議員も 事案の内容に応じて党規約等において処分できる党則改正を行う。
③党所属議員の政治資金の透明性向上
政治資金パーティー等国会議員関係団体の収入を銀行振込で行うことを基本とする。また、収支報告書についてオンライン提出とすることを通じて政治資金の見える化を図る。上記の取組に加え、政治資金パーティー等の更なる適正化について検討を進めていく。
(2) 制度面での改革
党として、上述の、政策集団への外部監査の導入、収支報告書のオンライン提出、会計責任者の逮捕や起訴時の議員に対する党紀委員会の処分などについて、先行して自主的に取り組みつつ、各党との真摯な協議を経て、政治資金の透明化、公開性の向上、より厳格な責任体制の確立・厳格化、及び逮捕後の議員報酬の在り方などにつき、政治資金規正法改正など必要な法整備をすみやかに行う。
3.「派閥」の解消と党のガバナンス強化
そもそも政策集団は「あくまで政策研鑽の場であり、党を補完し人材育成や若手議員 の教育機能を担う自主的組織」である。こうした考えのもとで、昭和 50 年より政策集団 は政治資金規正法上の「政策研究団体」として位置づけられてきた。しかしながら、わ が党の政策集団は、国民の多くがイメージするいわゆる「派閥」、すなわち「お金や人事のための集団」とみられても致し方ない状況が継続してきた。そのことを率直に認め真摯に反省した上で、上述のイメージが染み付く「派閥」から脱却し本来の政策集団に生まれ変わらねばならない。そのカギは、政策集団が「お金」と「人事」から完全に訣別 することである。以下の取組を徹底すると同時に、これまで政策集団が担ってきた役割 について今後は党の機能・ガバナンスを強化する必要があり、その方策の検討を進める。
①お金の面においては、政治資金パーティーを禁止するとともに(再掲)、夏季及び冬季の所属議員への資金手当て等を廃止し、資金の流れの一層の透明化も図る。併せて、 政策集団の活動を党本部等で行うなど、政治資金を最小限に抑える工夫をする。
②人事の面においては、政策集団や党内グループからの推薦など、政策集団や他の特定の集団が人事に影響力を及ぼしていると見られるような働きかけや協議は行わない こととし、党全体として若手、女性はじめ多様な人材の登用を進める。このことを党のガバナンス・コードに明記し、遵守状況をガバナンス委員会でフォローアップする。 同時に、党所属の各国会議員についてその経歴や専門分野などの情報を一元的にプールし、実績を更新しつつ人材育成に活用する仕組みを構築していく。
③政策グループにおいて政治資金規正法等の違反が明らかとなった場合、党として審査 を行い、事案に応じて一定期間の活動の休止もしくはグループの解散を求める。
④政策集団が文字通り政策を研鑽していく場であることを理解してもらえるよう、政策集団の活動報告及び政策の重点方針等の作成・公表を求める。
4.不断の改革努力の継続
まずは上記の「中間とりまとめ」で示された方向性についてそれぞれの制度やルール の詳細を検討していく。
更に、政治の刷新に向けては、選挙制度の在り方、国会運営の在り方、官僚との距離感 の在り方など、見直すべき課題は山積しており、不断の改革努力が不可欠である。この ため、今後も「政治刷新本部」において、上述の残された課題や新たな問題についての 議論を進め、令和の時代の不断の改革努力の推進力としていく。その際、わが党の次代 を担う世代や、地方組織・党員党友の意見を最大限尊重し、国民各層の声に丁寧に耳を傾けていく。