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提言全文:資産運用立国議員連盟 資産運用立国の加速に向けた緊急提言

資産運用立国の加速に向けた緊急提言

令和6年11月26日
資産運用立国議員連盟

 日本経済は、成長と分配の好循環や賃金と物価の好循環の実現に向けた様々な政策を通じ、現在、コストカット型から高付加価値創出型の経済への転換を実現する歴史的なチャンスを迎えている。

 こうした経済の変化を金融面から支えるのが「資産運用立国」の取組である。NISAの抜本的拡充・恒久化、コーポレートガバナンス、資産運用業やアセットオーナーシップの改革等に精力的に取り組み、その結果、家計資金の投資へのシフト、企業等の意識改革の進展、34年ぶりの株価最高値の更新など、大きな成果が表れてきたところであり、国内外の投資家や若い世代を含めた 家計から高い評価を得ている。

 他方で、資産運用立国は日本全体の資金の流れを大胆に変えていく改革であり、これまでの成果に満足することなく、昨年12月に策定した「資産運用立国実現プラン」を着実に実行するとともに、投資家のニーズや金融・経済環境の変化に応じて、継続的に改革を発展させていく必要がある。

国内外の投資家の期待が高まり、歴史的な金融・経済環境の転換点にある今こそ、その取組を更に加速させ、改革の継続意思を明確化し、強力に発信していくべきである。

 こうした中、国民の長期・安定的な資産形成を強力に支援していくためには、新NISAと並ぶ資産形成の柱である確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の抜本的な改革・拡充、新NISAの更なる利便性向上を図るとともに、政府の資産運用立国推進体制を強化することが、喫緊の課題となっている。

 こうした課題に対処し、政官民が連携して取組を推進していくため、以下を緊急に提言する。

1. 老後に向けた家計の長期・安定的な資産形成の更なる環境整備を進めていくため、①確定拠出年金の拠出限度額(iDeCo及び企業型DCを含む全体)の拡大(新NISAの水準に鑑み、第1号被保険者は月20万円・その他は月10万円)、②iDeCoの加入可能年齢の引上げ、③若年層も含め円滑に加入できるようにすることなど、加入者の手続の簡素化等の利便性向上(例えば、企業型DCを既に利用している場合のiDeCoへの加入の簡素化など)に加え、④物価その他の経済情勢も踏まえ加入者が合理的な商品選択を行えるよう諸外国の制度も参考に政府として取り組むことなど、大胆な改革を年内に決定し、速やかに実行すること。これらの改革を通じ、iDeCoを新NISAと並ぶ推進力あるものにしていくこと。

2. 新NISAの更なる利便性向上のために必要な措置を講ずること。特に、NISA口座の開設後10年経過時等に金融機関が行う顧客の所在地等の確認(確認がとれない場合には新規買付が不可)について、国民・金融機関の負担軽減や持続的な資産形成の観点から、制度の適正な利用を確保するための他の取組を検討することを前提に、廃止を含めた見直しを検討すること。

3. 資産運用立国に向けた改革については、政府横断的に進めていく体制を整備する必要もある。このため、資産運用立国の施策の進捗状況・効果を専門的見地から評価するとともに、国内外の関係者の意見等を踏まえ更なる施策について検討する有識者会議を内閣官房に設置すること。さらに、家計やアセットオーナーの資産を運用する資産運用業は、資産運用立国の実現に向け重要な役割を担っている。資産運用業を金融業の第4の柱として育成していくなど資産運用立国を強力に推進するため、金融庁の体制を抜本的に拡充するべきである。このため、まずは、来年度中に、「課」等の機構が少ない金融庁について、既存の硬直的な省庁内の廃止財源の考え方を踏襲することなく柔軟に適切な組織拡充を行い、銀行・保険・証券の監督担当課と並ぶ専任の「資産運用課」を設置すること。これに当たり、廃止財源の考え方については、必要な見直しの議論を進め、政府全体として適切な資源配分を実現すること。