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インフレ時代の経済政策

国会では予算委員会で論戦が始まり、各党から経済対策について提言が提出されています。現在の日本は長きにわたるデフレから抜け出し、インフレ基調に転換しました。ただ、経済社会構造や企業・個人の意識は変化の途上にあります。大きな変化の中だからこそ、経済構造全体を俯瞰して捉え、全体感を官民で共有しながら対応を進めていくことが重要になるので、今後の経済政策の考え方について共有します。

直近の報道等で注目が集まるガソリン暫定税率の廃止や所得税の基礎控除等の引き上げについては需要側(図の右側)を支える政策になります。目の前の物価高対応に即効性があるので、スピーディに実現していきますが、需要を喚起する政策になるため物価を上げる方向に働きます。

だからこそ、同時に供給側(図の左側)の政策に取り組み、物価を抑制しつつ、競争力を上げ、海外から稼ぐ力をつけていく必要があります。

現在の日本の根本的な課題は供給力不足です。米が不足して高騰したように、建設費や様々な資材が高騰しているのも、為替によるものだけではありません。

 

人口減少が進み人手不足が常態化する中で供給力・競争力を強化するには、 

①設備投資・研究開発の促進

②人への投資・労働市場改革

③事業承継・M&A・金融政策による体制強化

④規制改革

などが必須になってきます。

 

①設備投資・研究開発の促進

サービス業や飲食業、医療・介護分野では音声入力やクラウドサービス、AIの活用など、それほど大きな投資金額でなくても30%以上の省力化ができている現場が数多くあります。そして、アメリカも取り組んでいる製造業の国内回帰にも対応できるよう、大規模な設備投資も徹底的に支援していきます。

また、ロボットも多くの人手不足の分野で需要があり、様々な場面で活躍する姿が見られています。政府としても国産ロボットの研究開発を後押しし、防衛省や国交省、消防庁等で積極的に購入するなど初期需要も作り、ロボット産業を世界と競争できる成長産業にすべく取り組んでいきます。

この様な設備投資や研究開発は年末の税制改正で大規模な減税策を実施すべく議論を進めています。適応は来年4月からを想定しています。

米国関税は一定の結論が得られ、世界でもっとも有利な条件になりましたが、そうはいっても、自動車産業をはじめ、幅広い分野で大きな影響が想定されます。大企業だけでなく協力会社や中小小規模事業者の方々含め、幅広く支援できる経済対策を準備していますので、また共有させていただきたいと思います。

一方、守るだけでなくこの機会にASEAN、グローバルサウスなどアメリカ以外の成長市場を開拓し、今まで以上に海外で稼ぐ力を増やすことが重要になります。

特にオンリーワンの製品やサービスを抱えるスタートアップや中堅・中小企業、農林水産含め食品産業は世界で活躍が期待されます。国を挙げて輸出拡大のためのサポートも行っていきたいと考えています。

 

②人への投資・労働市場改革

人材については、リスキリング支援や多様な働き方に対応できる職場環境を整えるための助成金、高校改革による即戦力の専門人材の育成、働き方改革の見直し、労働市場改革に取り組んでいきます。

働き方改革は法律の施行から5年が経ち、今まさに見直しのタイミングが来ています。

経営者の方からの「人手が足りない」という声、働き手の方からの「やるべき時にはもう少し頑張りたい」という声を、何よりも健康管理に留意しつつ、社会の実態に則した労働環境づくりを実現させていきたいと考えています。

制度の見直しの方向性は私のYouTubeでもお話ししています。ぜひ動画もご覧ください。

 

③事業承継・M&A、金融政策等による体制強化

事業承継・M&Aの促進についても税制の強化やのれんの非償却化に向けた会計基準の見直し、M&A仲介事業の規律強化などに取り組んでいきます。さらに社債市場の活性化や、グロース市場改革など企業の成長投資を支える環境整備にも積極的に取り組んでいきます。

④規制改革 

1万条項のアナログ規制の見直しをはじめ、今後もテクノロジーの社会実装を阻んでいる規制を洗い出し、スピーディに規制改革を進めていきたいと思いますので、お気づきのことがあれば、ぜひ各種SNSで実情を共有していただけたらありがたいです。

今回新たに拝命した自民党の経済産業部会長は、日本の産業をより強くするために政策をとりまとめていく立場です。各産業に関わる皆さん、働く皆さんの声を形にする立場でもありますので、色々な機会にお話を伺い、政策に仕上げていきたいと思います。

上記の考え方をもとに自民党経済産業部会として経済対策に向けた提言はこちらです。