この国の政治・行政を考える~今日本に必要なリーダーシップ Vol.1
先日、シンクタンク主催の勉強会で「この国の政治・行政を考える~今日本に必要な人材・リーダーとは~」というテーマで、講演の機会をいただきました。
現役で働く多くのリーダーがそうかもしれませんが、私自身、日々の業務に終われ、この国をどう変革し、政治家として導いていくかを改めて考える時間をとることを後回しにしがちです。この日をよい機会と捉え、大上段からリーダーシップ論を語るのではなく、私が日頃リーダーとして実践していること、したいと思っていることを4点に整理して話しました。今日から4日間にわたり、講演の要旨として、政治のリーダーシップについての考えをこちらのブログで共有していきます。
- 政治スタイルをアップデートする
- ゴールと政策資源を設定する
- 全体最適を考える
- 遠くを眺める
#0 始めに
大学生の頃、おサイフケータイというのが出てきて、マックからクーポンの情報が届くようになりました。これはすごいなと。24時間365日握りしめているケータイに、1人1人に違う情報が届く。クーポンが届くと無性にあのフライドポテトが食べたくなる。つまり、個人に意識変容が起こって、行動が変わる。ポテトのクーポンからではありますが、これはものすごい社会を変える力があるんじゃないかと思うようになって、NTTドコモに入社しました。
ドコモショップでの研修や、その後に配属された群馬の法人営業での仕事を通して、現在に通じる様々な経験をしました。身体の不自由な家族の買い物を手伝うためにテレビ電話の操作を相談にきたお客様、外国人が多い街で、言語や文化の違う街で暮らす人から、テクノロジーによって、多様な人々がフェアに社会参画できる機会を作ることができることを体感しました
法人営業としては、民営化から20年以上経っていたドコモに課された多くの規制に阻まれ、悔しい思いをする日々が続き、その中で、意外と世の中はアンフェアなルールや慣習が多いことに気づきました。このまま、昔誰かが作ったルールの下で生きていくのは冗談じゃないな、と思った時に、ルールを作る側に回りたい—- そう思ったのが政治家に転身した理由であり、政治活動の原点です。
#1 政治スタイルをアップデートする
今、何が必要かと言えば、まず、この国の政治のリーダーシップのあり方、スタイルを変えるということです。恐らく、それは民間でも同じ状況ではないかと思います。
これまで、政治家は有権者や支援業界の陳情を受けつけ、行政の担当者と調整して予算をつけることで 評価を受けるというやり方が基本でした。インフラや産業が脆弱だった昭和の時代は、ここに橋や道路があれば街が発展するだろう、というように、課題が明確であり、地域住民が解決策を持っている状況でしたから、陳情受付型が効果的に機能していました。
しかし、国は成熟し、グローバル化するとともに、現在の私たちが直面している主に4つの大きな変化—- 1)人口減少 2) 人生100年時代 3) テクノロジーの圧倒的な進展 4) 気候変動、によって、社会課題は複雑化し、直接的な解が見つからないまま、平成は終わり現在に至っています。
もう昭和のリーダーシップ— 陳情受付型の政治スタイルでは、この状況は好転しません。そこで私自身実践し、提案したいのが、「提案コーディネート型」の政治スタイルです。
長い間、私たちが漠然とした不安の中にあるのは、課題への解決策や、もっと言えば、課題そのものがはっきりとわからないことが要因です。複雑化した社会で発生している多様な課題、新たな問題は、政治家と官僚だけではもう解決できません。 だから、漠然とした課題に対し、仮説を立て、解決策の検討や解決に向けて行動してくれる人を広く官民から集め、そして議論の場をコーディネートし、実現する。それを私は「提案コーディネート型」と整理しています。
昨年、地元・福山の河川敷にスケートボードパークやバーベキュー場ができたのですが、これも、緩やかに始まった人口減少という課題に対して、もっとエンタメがあって住むのが楽しい地域にしてはどうか、河川敷が活用できるのではないか、と仮説を立てて、提案し、多くの仲間が活動する中で実現しました。
具体案は民間から仲間を集めて、議論の場を作る。議論だけだと煮詰まるので、できることからやってみて、成功体験を共有していくことでイメージが湧いてくる。活用できる制度を探してきて、行政にも歩を進めてもらう。そうして実際に施設ができ、自分たちの街の景色が変われば、地域は自走し始める。プロジェクトが走り出したら、コーディネーターであるリーダーの役割は、一つ一つのプロセスを意義づけして共有し、メンバーの意欲を高め、自律的に活動できるよう促していくことです。地域や現場が自走できれば、リーダーは次のプロジェクトに移り、複数のプロジェクトを地域でスケールさせることができます。
上記のようなプロセスを経てプロジェクトが実現することで、地域や関係者にとって大きな成功体験となる同時に、私にとっては具体的な課題や解決策の発見の場にもなります。逆のルートで、国政の場で見つけた地方都市の課題を、地元に持ち帰り、仲間とともに解決方法を見つけることもあります。地域の課題解決に参画した人は、自分が関わることによって街を変えることができることを体感します。そうして自ら政治に参画する場をコーディネートしていくことが、多様な社会における政治のリーダーシップと信じてこれからも実践していきます。
+++ 明日以降公開+++
Vol 2. ゴールと政策資源を設定する (8/25 公開) : 急ぐべき公務員制度改革と働き方の問題。霞ヶ関に対し、政治家がリーダーとしてやるべきことは、「やめることを決めること」という提起をします。
Vol.3 全体最適を考える (8/26 公開)
Vil4. 遠くを眺める (8/27 公開)
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— 小林史明(衆議院議員/広島7区/福山市) (@kb2474) April 8, 2021
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