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この国の政治・行政を考える~今日本に必要なリーダーシップ Vol.2

総務省の働き方改革会議の様子


先日、シンクタンク主催の勉強会で「この国の政治・行政を考える~今日本に必要な人材・リーダーとは~」というテーマで、講演の機会をいただき、昨日は、そこで話した私が政治家になった背景と、4つに整理した今、政治のリーダーに求められていることの1つ目をポストしました。

今日は2つめ、「ゴールと政策資源を設定すること」についてです。

一昨年、厚生労働省による統計不正がありました。これをきっかけに、
党の行政改革推進本部で全省庁の業務量調査を行い、抜本的な業務見直し・定員管理体制の確立・人事評価制度の改善を提言しましたが、公務員制度と官僚の働き方には強い問題意識を持っており、改革は急務です。構造的に霞ヶ関だけでは自浄作用が乏しく、政治のリーダーシップが求められます。

どんなに素晴らしい政策案であっても、制度設計、国会や政府内での承認、実行主体との調整、予算確保など、行政職員の稼働などの「政策資源」が必要です。政治がそれらが無限だと思っている状況はこの国の大きな問題で、早々に改めなければいけないと思っています。

政治スタイルの観点では、昭和の陳情受付型の時代は、現在に比べて法律や予算も少なく、行政には必要な稼働に対し十分な人員がありました。政治側が政策資源をそれほど考えなくても良かったのです。

先述の統計不正の件を例にあげると、毎年民間の皆さんの給料の調査が行われており、その調査結果を厚労省がごまかしたということでした。国会では、厚労省がけしからんという議論になっていたのですが、私は、問題の要因はもっと根深いのではないかと考えました。

調べてみると、調査は全部紙で収集し、データ化するだけで膨大な作業量で、分析、チェック、報告もアナログな手法で行われていました。調査する行政側、協力する民間側、どちらも非常に手間がかかる作業となっており、これでは、不正やミスがいつ起こってもおかしくない状況です。 

社会課題の複雑化によって、各省庁の仕事は増えているのに、 仕事のやり方は古いまま。 そして、過去の行政改革によって、官僚の人員は毎年2%ずつ程度削減が求められており、その上で必要な増員要求をして、なんとか人員を補っていく仕組みになっています。その結果として、ミスや不正が起こりやすい状況にあることは明白です。これは現在の行政組織が抱える構造的な問題なのです。

官僚はもともと優秀な人材の集まりで、本来の力を発揮できる仕組みにすれば、国のオペレーションはもっとスムーズにいくでしょう。そのためにも今求められるリーダーの意思決定は、「やめることを決めること」です。それはデジタルツールや業務のオートメーション化はもちろん、昔、 省庁の先輩が立ち上げた政策なのでやめられない。 みたいな人情的な理由で続けている業務をやめてしまってよいと決める。そこで政策資源を生み出し、新しいことに充てることは、リーダーの役割です。

政策資源の効率化という視点では、組織の階層を減らすことも有効な方法の一つだと考えています。

昨年、50代目として務めた自民党の青年局長時代の経験は、成功事例の一つです。結党以来続く青年局は、1,300名を超える地方議員、45歳以下の党員が20万人所属している大きく歴史ある組織ですが、組織のデジタル化を徹底的に進めました。それまで情報は中央役員からの上意下達、主に年に1回の地方大会が地方組織との意見交換の場だったのですが、新体制では、全国をオンラインでつなぎ、参加したい人を一堂に集めて議論するようにしました。

また、青年局イントラネットを立ち上げ、メンバーがフラットに情報にアクセスできる環境を作り、量・スピードともに情報格差をなくしました。コロナ禍が始まる前の9月に就任し、年末からコロナの感染拡大が始まったという時期でしたが、約1年間で、これまでの約4倍の提言をとりまとめるなど、これまで以上に活発に活動できたことから、4倍の付加価値を出すことができる組織になったと考えています。

組織の階層を減らして多様なメンバーから話を聞くことができれば、政策資源の効率化だけでなく、適切なゴール設定にも有用です。

ゴールを決めることも、政治のリーダーの役割です。 問題を解決していくにあたって、 何を持って正解、または達成とするか。また、責任を持って推進、説明する人は誰かを決めないと、特に緊急事には迅速かつ的確な対応が難しくなります。リーダーの周りに良いブレーンやスタッフが必要とはよく言われますが、「良い」とは、優秀であることと同時に多様であることが重要です。

そして、ゴールを設定したら、リーダーによる”宣言”をすること。リーダーシップを発揮するためには、何かしらを要因とした信頼が必要です。信頼は何から得られるかというと、小さかろうが大きかろうが、約束をして守るという行為から生まれます。この方向でこれをやりますと宣言して実現する、宣言して実現する、というこの繰り返しで築かれていくのです。


+++ 公開予定+++ 

1.政治スタイルをアップデートする
3. 全体最適を考える (8/26 公開):部分最適を極めてしまう制度、慣習、組織をリーダーがどう見極められるかを考えます。
4.遠くを眺める (8/27 公開)


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