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デジタル臨調立ち上げと進むべき道(3)

6月3日のデジタル臨時行政調査会では、「アナログ規制」の一括見直しプランを取りまとめました。デジタル臨調設立以来半年、社会の進展を阻害している「目視」「対面」「常駐」などのアナログ規制を見直すべく、事務局と各府省庁と調整してきました。見直しの対象としている、1万の法令、3万の通知・通達・ガイドラインのうち、まずは約1万の法令を精査し、約4000条項について見直し方針を確定できました。デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン(案)を公表できたのは大きな成果です。

集中改革期間と定めた2025年までの3年間で、各府省庁は2022年9月末までに同4000条項についての工程表をそれぞれ作成し、我々事務局で一括的な法改正に向けた準備を進めます。工程表作成にあたり、事務局から「テクノロジーマップ」と、「デジタル技術カタログ」を提示します。

政令・省令は2022年内にも各府省庁で適宜改正を開始し、2023年の通常国会から順次法改正に持ち込みたいと考えています。

岸田総理がこの日の会議で、「引き続き、私を会長に、同種の規制を一括して見直す「面の改革」、技術の進展に即した「テクノロジーベースの改革」、未来の法令を念頭に置いた「将来の改革」の3つを掲げ、スピードを最優先に、実行していきます。」と発言された通り、ここからも加速的に改革を実行していきます。

デジタル臨調と連動して規制改革を実行するにあたり、私が特に重視していることを、2つ共有したいと思います。

1つ目は認可制度や安全規制を事前規制型からリスクベースの規制へ移行できないかということです。前回のブログでも触れましたが、自動運転や医療機器で言えば、ソフトウエアが改良されたらそれを受け入れてデータを取り、安全性を検証しつつ、また次の改良に進めていくようにしなければなりません。

現在は、アップデートの際には、事前に各役所に申請を書類で出しに行き、許可を受けて初めてそのソフトウエアが実装されます。世界に比べて新しい技術の社会実装が遅れているのが日本の現実です。このような状況を大きく変えていきたいところです。

2つ目は、既存の法律だけでなく、今後出てくる新しい法律も含めて、技術の進展にともなって、デジタル社会に適合できているかどうか、見直しし続ける仕組みを導入していけないか、ということです。

現在、内閣法制局が各政府が法律を作る際の文言チェックなどを行っていますが、そもそも新しい法律がこれからのデジタル社会に適合しているか、アナログを押し付けるような法律になっていないかを常時チェックをする機能を持つ、いわゆるデジタル法制局機能を創設します。

デジタル規制改革はようやくスタート地点に立ちました。今後3年間で、と約束した通り、デジタル臨調で改革を進めていくのはもちろんですが、既存の規制改革関連の取り組みも組み合わせて、加速的に進めていきます。

先月、規制改革関係府省庁連絡会議という、省庁横断で情報を共有して国民や事業者の問い合わせ窓口を一本化する組織を立ち上げ、議長に就任しました。政府の規制・制度改革の取り組みは、規制のサンドボックス制度や3類型ある国家戦略特区制度、グレーゾーン解消制度、新事業特例制度など複数ありますが、国民や企業にとって、窓口や情報が分散して、制度が使いづらい側面があります。

改革を加速するためにも、この会議で、関係府省庁の連携を強化し、国民・企業にとって分かりやすく使いやすい窓口の整備を進めます。

政府の大きな役割は、国民生活や企業活動が安全かつ自由にできるよう、社会インフラを整えていくことです。法律や社会制度は、道路や電気と同じように社会インフラの一つで、生活設計も経済活動もその上で成り立っていると私は考えています。

戦後に整備された道路や設備が古くなって、新しいテクノロジーでメンテナンスされているように、古くなった法律や社会制度も作り替えるべきです。そしてテクノロジーの進展で、私たちのライフスタイルが変化を続けるように、法律や社会制度も今の私たちと未来にとってよいように、変えていくべきです。

ですから、官民問わず、皆さんにも規制改革に是非参画していただき、ルールを変えることに挑戦していただきたいのです。社会のルールはどうせ変わらない、と心のどこかで諦めて、ルールに自分を合わせていた時代を終わらせましょう。それは私たちだけでなく、未来の人々のためでもあります。

デジタル臨調の取り組みは始まったばかりです。進捗はデジタル庁のホームページで公開しています。初めに書いたように、残り3万についても、すでに点検を始めていますので、随時報告していきます。

ぜひ注目してください。


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