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提言全文: スタートアップ育成5カ年計画に向けた提言

スタートアップ育成5か年計画に向けた提言

令和4年11月22日
新しい資本主義実行本部
スタートアップ政策に関する小委員会


1.はじめに - 新しい資本主義の柱としてのスタートアップ
 新しい資本主義では社会課題の解決と成長を同時に実現していく。その鍵はスタートアップである。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われるように、1970年代の日本は世界で最も競争力を有する国であった。その後、米国では選択と集中を進め、1970~1980年代にVC育成を図り、スタートアップに資金が流れるようになり、現在では、当時は無かったGAFA等に代表されるテクノロジー系企業が世界トップ2000にランクインしている。欧州・アジア諸国等の諸外国においても、スタートアップの育成を通じて、新たな産業の育成や雇用創出が加速している。
 他方、日本では過去30年間で国際競争力ランキング及び日本企業の競争力は大幅に低下し、今や日本は、若い世代が「明日への希望が持てない」危機的な状況と指摘されている。
 課題先進国として社会課題を成長に繋げていくためには、我が国が有する優秀な人材のポテンシャルを大いに解放し、deep-tech(バイオ、AI、量子、グリーン、宇宙・海洋、ドローン等)やweb3など、我が国の強みを生かし、次々とユニコーン・デカコーン等のスタートアップが生まれ、新産業や新規雇用が生まれるエコシステムの形成が急務である。スタートアップは、新しい資本主義のもう一つの柱であるリスキリングによって新たなスキルを獲得した人材の受け皿となり、円滑な労働移動と所得向上を実現する役割が期待される。
 本提言では、「新しい資本主義実行本部提言」(本年5月)及び「スタートアップ・エコシステムの抜本強化に向けた提言」(本年4月)を踏まえ、同提言のより一層の具体化を図るべく有識者へのヒアリングを実施し、政府が策定する「スタートアップ育成5か年計画」に盛り込むべき施策を取りまとめたものである。
 「スタートアップ育成5か年計画」の策定に当たっては、「5年後に国内スタートアップへの投資額が10倍を超える規模」となるよう、バックキャストで以下の施策を実行し、検証・アップデートしていくことを求める。


2.提言

(1)大胆かつ具体的な目標設定とスタートアップ政策の体制強化
○ 5年後に国内スタートアップへの投資額を10倍を超える規模に
・5年後に国内スタートアップへの投資額を現状10倍を超える規模、即ち0.8兆円(2021年)から10兆円(2027年)とするよう目標設定し、達成に向けて政策を総動員すること。
・上記以外についても、「ユニコーン100社創出」「スタートアップを10万社に」など、我が国が「アジア最大のスタートアップハブ」「世界有数のスタートアップの集積地」となることを目指し、諸外国に比して特に劣っている点を中心に、大胆かつ具体的な目標設定を行い、官民挙げた総力戦の展開が可能となるようにすること。

工程表の作成と真にアジャイルな政策展開
・政府における5か年計画の策定にあたっては、目指すべきスタートアップ・エコシステムを示し、その構築に向け5か年の工程表を策定すること。
・施策の実施にあたって、我が国の成長の源泉はスタートアップ推進にあることを政府全体として認識し、種々の制度において特別措置等を創設することを厭わず、スタートアップフレンドリーに進めることを前提に、社会環境の変化や各施策の効果を踏まえ、タイミングを逸することなく、適切かつ柔軟にアップデートを行い、真にアジャイルな政策展開を行うこと。
・政府における5か年計画の検証・フォローアップのため、スタートアップ・エコシステムの現状把握に必要な調査分析を国際比較可能な形で実施するとともに、各施策の実施状況を報告すること。
・次世代のプラットフォームにもなりうる新産業分野、Deep-techは、特に、民間からの投資不足の問題が大きい。我が国既存企業もコミットメントするよう、まずは、政府が、コミットメントする分野等を明確にし、特に重点的に支援策を講ずるべきである。


○ スタートアップ政策の体制強化

・合同会議提言を踏まえて、スタートアップ担当大臣が任命された。本提言に掲げる各施策を含め、スタートアップ政策の一元的・効率的な実行、海外起業家やVC等に向けた積極的な情報発信、KPIに基づく実施状況のモニタリングや各省庁への改善の働きかけが可能となるよう十分な体制とすること。
・政府系のスタートアップ支援機関の連携協定「Plus」について、合計16機関の参加機関におけるスタートアップ支援の担当者の人材育成や交流促進に加え、スタートアップ支援に関する統一的な情報の発信などにより、スタートアップの一元的な窓口としての実効性を高める取組を進めること。


(2)スタートアップへの人の流れの強化 ~起業家の輩出・育成のための基盤の抜本強化

○ ストックオプション環境整備によるスタートアップの人材獲得力の強化
・米国にて一般的に活用されているストックオプションプールについて、我が国でも米国と同等に活用できるよう、会社法や税制上の措置の見直しを含め、環境を整備すること。
・信託型ストックオプションについて、FATF(金融活動作業部会)からの指摘や上場審査の際に会計事務所が監査に応じない等の指摘を踏まえ、まずはその実態を調査するとともに、同調査結果に応じて必要な環境改善を行うこと。
・ストックオプションの退職時等の扱い、RSU(譲渡制限付株式ユニット)の導入円滑化など、スタートアップ企業が活用する場合の課題を整理し、制度の見直しの検討やガイドラインの作成を進めること。
・特にdeep-techや社会課題に対応したスタートアップではエグジットまでに時間がかかり、その間にも創業者・従業員の現金の必要性から小粒IPOに向かってしまうという課題に対応すべく、またスタートアップに流れる人材のインセンティブを高めるべく、米国等の諸外国の事例を参照し、未上場段階でのストックオプション権利行使が円滑に可能となるよう、権利行使の際の要件を緩和するととも、制度の見直しを図ること。
・米国等の諸外国の事例を参照し、スタートアップに入社した従業員の株式報酬が明確なルールに基づいて算定されるよう、種類株に応じた株価算定ルールを策定すること。
・諸外国の事例を参照し、ストックオプション税制について、権利行使時の課税繰り延べ上限の見直しや期間(10年間)の延長など利便性の向上を図ること。
・種類株式について、株主の特別決議による承認の必要性が不明確であるなど、煩雑な手続となっており活用しにくいため、該当行為の明確化等の見直しを行うこと。


○ 日本版QSBSの導入

・米国のQualified Small Business Stock (QSBS)制度では、リスクを取って挑戦する起業家・従業員がスタートアップの長期的な成長や次なるイノベーションに専念できるよう、一定の要件を満たすスタートアップの株式譲渡益は一年間・一社につき1,000万ドルまで非課税になるとともに、当該譲渡益を原資とした再投資について上限なく課税繰り越しとなる等の措置が講じられている。こうした事例を参照し、大きなリスクを取って起業する者やエンジェル投資を行う者の支援のために求められる税制(日本版QSBS)を導入すること。特に、創業者が次なる創業者や投資家となり、スタートアップの創出や支援を行うことが諸外国では多く、エコシステムの形成・発展に重要な役割を果たしていることから、再投資に関する非課税措置等の制度整備は早急に行う必要がある。また、スタートアップへの投資家に対して、金融所得課税が過度の負担にならないよう留意すること。
・併せて、現行のエンジェル税制について、税制優遇を受ける際に必要な申請書類の削減、手続の簡素化・オンライン化促進など、利用者の負担軽減や英語対応を促進すること。

○ 未上場株式取引のためのプラットフォーム(セカンダリー・マーケット)の創設
・米国等の諸外国ではテック系スタートアップを中心に、スタートアップを未上場段階において大きく成長させるとともに、創業者・従業員等の未上場段階における生活安定化や次のイノベーションにつなげるための現金化のニーズに応える等の観点から、未上場株式の取引を目的とした市場が拡大している。こうした事例も参照し、スタートアップや投資家の利便性向上、投資家保護及びプラットフォーム事業者の参入促進の観点から、セカンダリー・マーケットの制度化を推進すること。
・上記取引を円滑化するため、未上場企業の証券等のデータの標準化を進めること。


○ 国外転出時課税(「出国税」)の見直し

・国外転出時課税(「出国税」)について、納税猶予制度が、担保供与や保証において実務的に活用困難となっており、起業家やエンジェル投資家が海外でビジネス展開する際の阻害要因との指摘があることも踏まえ、諸外国の制度も参照し、制度改善を検討すること。

○ 起業家人材の育成事業拡充
・グローバルに活躍する起業家人材育成のため未踏事業や異能vationプログラム等を拡充するとともに、アジアなど海外トップ人材発掘・日本への呼び込み強化も図ること。
・農業や医療など、deep-techの個別分野に特化した起業家教育・スタートアップ創出支援に関する取組みの強化を図ること。

○ 初等中等段階からの起業家教育の充実
・産学官が連携し、体系的な教育プログラムのもと、アントレプレナーシップ教育を採り入れる高校・高専を重点的に支援すること(スーパーアントレプレナーシップハイスクール(SEH)の指定)。併せて、キャリア教育等の既存のカリキュラムも活用するなど、起業家教育の裾野の拡大に向けて取り組むこと。
・STEM分野で高い能力を有する小中高生に対してアントレプレナーシップ教育の機会を拡充すること。
・初等中等教育段階でも、ロールモデルとなる大人との出会いが非常に重要であり、起業家と児童生徒たちの出会いを総合的学習の時間も活用しながら全国津々浦々で展開すべきである。それらを通じ、起業を楽しみ、身近に感じられる社会や文化の醸成を図っていくこと。また、企業と学校間の人材交流を促進するため、任用制度の活用促進や企業等と学校の双方と雇用契約を結ぶことができる「クロスアポイント制度」の導入を検討すること。

○ 起業を躊躇させる経営者保証の是正
・「借金や個人保証を抱えること」を失敗時のリスクと考え起業に踏み切れない起業関心層が多いことや再挑戦を促す観点から、起業時における個人保証をなくすことや、「経営者保証ガイドライン」の周知及び更なる充実など、経営者保証のあり方について、関係省庁において年内にとりまとめるよう取り組むこと。

○ スタートアップを担う人材や支援する人材の拡充(人材の流動性の向上)
・終身雇用を前提とした働き方、兼業・副業の禁止、新卒一括採用偏重といった雇用慣行を見直し、人材の流動性を高めること。特に、現在「新しい資本主義実現会議」において議論が進む、リスキリングを含めた労働移動の円滑化について、来年6月にとりまとめる指針においては、スタートアップも十分念頭においた内容とするよう検討を進めること。
・スタートアップの事業化に向け、経営、法務・知財などの専門家による相談や支援を強化すること。大企業の人材による「出向」の形での起業に対する支援を強化すること。
・大企業が、知財・人材等の経営アセットをスタートアップに切り出す取組についての開示・ガバナンスを強化すること(「知財・無形資産ガイドライン」改訂等)。

○ 再チャレンジ支援制度の拡充
・今通常国会で提出した改正雇用保険法により創設される、事業を開始する方が失業給付を受給可能な期間を延長できる制度を有効に活用するほか、各省庁においても、起業家による再チャレンジを応援する制度や環境の整備を積極的に行うこと。

○ 起業家コミュニティ(スタートアップ・ビレッジ)の形成促進
・2013年にロンドンに設立された「Level39」は、世界最高水準のスタートアップコミュニティと言われる一方、我が国にも「CIC Tokyo」が設立されるなど、起業家、投資家、行政、大手企業、行政等の産学官が1か所で交流する「場」を作ることで、熱量を共有し、新たなスタートアップの創出や事業拡大がなされており、これらのコミュニティ機能の重要性が改めて注目されている。このような状況も踏まえ、我が国においてもグローバル展開を加速する更なる起業コミュニティが創出されるよう、規制改革や環境整備等の支援を行っていくこと。


(3)スタートアップへの資金の流れの強化 ~多様な主体からの資金供給拡大

○ 官民ファンド等の機能強化
・イスラエル、韓国等の諸外国の経験も参照し、国内VCマーケットの育成という観点で、中小機構基盤整備機構及び株式会社産業革新投資機構(JIC)以外の官民ファンドも含め、公的資金による国内外VCへのLP出資強化により「5年10倍」のVC投資額を実現するのに十分なリスクマネーを供給すること。
・特に海外VCに対してはLP出資拡大を通じて、海外VCと日本のスタートアップとのネットワーク強化を図ることで日本のスタートアップへ投資を促し、海外VCのノウハウ・グローバルネットワークを我が国へ導入すること。その際、諸外国の事例を参照し、官民ファンドと海外VCとのネットワーク強化等の観点から、官民ファンドの海外拠点機能を強化すること。また、当面は海外VCとのネットワークを有するゲートキーパー等も積極的に活用すること。
・Deep-tech分野のスタートアップへのプレシード・シード期のファンディング強化のため株式会社日本政策投資銀行(DBJ)の特定投資業務の更なる活用に加え、NEDO、JST事業等について、(7)に示すSBIRの大幅拡充と同様に10倍規模にするとともに複数年にわたる措置とするなど抜本拡充すること。
・株式会社産業革新投資機構(JIC)において民間ファンドの通常の投資期間である10年を超える長期投資を安定的に実施し、大規模・長期の成長資金供給を拡大できるよう、存続期間を延長(現状2034年3月末まで)すること。


○ 機関投資家からのVC投資促進

・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)等の公的機関投資家について、スチュワードシップコードに定められている「市場全体の持続的成長」という観点、また、分散投資によるリスク低減・パフォーマンス向上の観点から、国内VCへの投資を通じて成長の原動力である国内スタートアップへの資金供給を拡大するとともに、そのための環境整備を図ること。
・GPIFについては、公的年金の安定的な運用の観点から、例えば、1%程度は国内VCに振り向けることを通じ、スタートアップに豊富な成長資金が供給されることを期待する。その実現のため、GPIFの体制強化を図ること。
・企業年金について、受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図るスチュワードシップ・コードの受入れや、コーポレートガバナンス・コードを踏まえた上場企業の人事面・運営面の取組みを促すこと。
・VCファンドのパフォーマンスの国際基準である公正価値評価(時価評価)の導入や監査等の実施を促進すること。具体には、公認会計士協会における金融商品会計及び監査に係る実務指針の改訂や、必要に応じて金融商品会計基準の規定の見直し等が期待される。
・諸外国の事例を参照しつつ、事業会社からVCファンドに投資する際の税制優遇措置を導入すること。


○ 個人からVCへの投資促進

・英国、フランス等では年間数億円以上の個人資金がVCに投資されているという事例も参照し、投資家保護に留意しつつ、個人からVCファンドへの投資を促進するスキームを、エンジェル税制等の既存の税優遇措置の拡充及び新たな税制優遇の導入を含めて創設すること。これにより、多様な主体がスタートアップを支え、スタートアップ支援への国民的な機運の醸成が期待される。


○ グローバル標準のファンド法制への改正

・諸外国の事例を参照し、いわゆるLPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)について、海外投資上限を撤廃するとともに、web3分野の暗号資産などトークンの投資対象への追加などを図る改正を行う。これら改正により、LPS法に基づき国内で設立されるVCファンドが海外VCファンドと互角に戦うことが可能となる。


○ ベンチャー・デットの活用促進

・金融機関・事業者双方に事業の継続や発展への動機づけをもたらし、資金供給・調達の可能性を広げる担保制度(「事業成長担保権(仮称)」)を導入する等、担保となる有形資産を持たないスタートアップでも成長資金の調達を可能にすること。
・世界ではユニコーン企業の2割程度をfintech企業が占めており、我が国において、その萌芽を妨げないためにも、例えば、日本政策金融公庫の「創業支援制度」において金融業も対象に含め、また貸しとのリスクがないことを審査した上で融資可能とするなど、その他の政府による債務保証の質・量の両面支援も含め、ベンチャー・デットの活用促進を図るための各種制度整備を行うこと。


○ 株式投資型クラウドファンディングの拡充

・現行では1億円となっている株式発行者の年間資金調達上限について、500万ドルとなってる米国等の諸外国の事例を参照し、年収や資産に応じて投資上限を設定する等、スタートアップへの投資活性化に向けて必要な措置を講じること。


(4)Deep-techシーズの創出強化 ~大学を核としたエコシステム形成

○ グローバル・スタートアップ・キャンパスの創設
・日本の大学・研究機関の人材・研究シーズがグローバルに展開されるよう、海外トップ大学とも連携し、Deep-tech分野の共同研究とインキュベーションの機能を兼ね備え、産業構造変革の起爆剤となるグローバル・スタートアップ・キャンパスを創設すること。
・その際、アカデミックな分野のみに留まらず、スタートアップやVCでの活躍も含め、グローバルに活躍する博士課程学生や若手研究者の育成を図ること。
・海外大学が有する起業家育成・インキュベーションプログラムの活用や、海外トップVCやアクセレレータとのネットワーク形成を通じて、海外のエコシステムやグローバルなインナーサークルへのアクセスも可能とすること。
・国内外企業とも連携することで、同キャンパスでの共同研究や起業家育成プログラム等を通じて、国内企業のイノベーション創出力向上を図ること。
・関係自治体とも連携し、都市計画としてエコシステム強化を図る観点から、下記(8)に記載の外国人材の生活基盤整備等の施策とも一体的に進めることで、真にグローバルな地区を形成すること。
・中高生や一般市民向けのワークショップ等のイベントも含め、コミュニティ活動を積極的に開催していくことで、我が国の起業カルチャーの醸成を図ること。
・キャンパス創設にあたり、その施設・設備の完成を必ずしも待つことなく、海外大学との先行的共同研究や研究者交流等を通じて、迅速にスタートアップ創出に取り組むこと。
・海外大学等へのエンダウメントへの拠出により、長期・安定的な協力関係の構築を進めるとともに、キャンパスの運営に当たっては、キャンパス自身のエンダウメントを官民により、その運用益によってキャンパス運営が可能な規模で構築し、戦略的な運営の実現を目指す。
・同キャンパス構想は、上述のあらゆる施策の「実践の場」であり、その観点から上記(1)の司令塔の下、各種施策との連携を図り、一元的・効率的にキャンパス創設を図ること。


○ 海外先進エコシステムとの接続強化

・ボストンでは、バイオ分野のVCが高度な専門性を有するキャピタリストを備え、会社立上げ前の仮説構築・基礎研究の段階から大学、病院、製薬会社等と連携して支援を開始する等、スタートアップ創出・育成モデルの進化により、バイオスタートアップのエグジットまでの平均期間が6年となっている。こうした世界最先端のエコシステムと競争可能となるよう、日本と諸外国のエコシステムの接続を強化すること。
・世界最先端の創薬スタートアップ創出モデルが我が国の研究シーズに導入されるよう、創薬ベンチャーエコシステム強化事業等においては、海外VCとの連携を強化し、海外VCの実情に合わせた柔軟な事業設計とすること。


○ 世界トップレベル研究者の呼び込み

・大学ファンド(10兆円ファンド)等を活用して世界トップレベルの研究者を呼び込むこと等を通じて、世界標準の大学発スタートアップ創成基盤を構築すること。


○ スタートアップ・エコシステム拠点都市での取組強化

・半数近くの大学生が、ベンチャー企業への就職も志望している現状も踏まえ、希望する全ての学生への起業家教育やメンター・アクセラレータからの支援を受ける機会を提供すること。
・米国等の諸外国の経験も参照し、また海外トップ大学等とも連携しつつ、研究者等への起業家教育プログラム及びギャップファンドを抜本強化すること。
・大学・産総研などの国研等における研究機関の技術シーズと、大企業における経営人材とのマッチング機能を強化すること。


博士課程学生への支援強化
・諸外国のスタートアップでは博士人材がdeep-techスタートアップを牽引している背景を踏まえ、博士人材の拡大を図る観点から、大学ファンドからの支援を始めとして博士課程学生への支援を強化する。
・公務員採用者において博士課程修了者の給与等級加算を導入するとともに、公務員の名刺に「PhD」の記載を奨励する。
・民間企業に対しては、博士人材活用の意識改革を促す。


○ 高等専門学校における起業家教育の強化

・高専については、高専教育における「高い技術力」を活かし、高専間の連携も図り、高専をスタートアップの拠点としたアントレプレナーシップ教育を全ての国公私立高専において積極的に行うこと。


○ 知財活用の促進

・大学で生み出された研究成果に基づく知財を存分に活用していくためにも、大学からスタートアップへの知財譲渡・独占ライセンスの際、知財対価として株式や新株予約権を活用しやすいよう、各種制約を撤廃すること(関係法令・通知等の改正、「大学知財ガバナンスガイドライン(仮称)」の策定)。
・大学からスタートアップへの技術移転が促進されるよう大学の共有特許の通常実施権に関する制度のあり方を検討するとともに、大学による海外への出願支援の抜本的拡充を検討すること。
・スタートアップが事業化に必要な技術シーズや特許ポートフォリオ形成に必要な知財を探索しやすくするための仲介・マッチング機能の強化に向け、第三者へのライセンス契約(譲渡・許諾)の意思がある特許を登録した「開放特許情報データベース」の民営化など特許データベースを拡充するとともに、官民IT基盤の連携を強化すること。その際、ライセンス交渉コスト低減のための許諾意思表示のインセンティブ措置について、海外の「ライセンス・オブ・ライト」制度(第三者への実施許諾許可を条件に特許料を減額)の実施の状況を注視しながら検討を行うこと。
・VCを通じて知財戦略専門家をスタートアップにつなぐ枠組みの構築や、VCへの知財戦略専門家派遣を通じた、スタートアップによる知財戦略構築を強化すること。


○ 産官学による推進体制の構築

・大学、スタートアップ、VC、産業界等の関係者がエコシステム発展について、その具体策の議論や成功事例を共有するため、大学支援フォーラムPEAKS等を活用すること。


(5)web3で世界をリードする

○ 国際競争力あるトークン税制の整備
・自社発行の保有トークン(いわゆるガバナンストークンを含む)に対する時価評価課税は スタートアップ 企業にとって極めて重い負担であり、その結果、多くのブロックチェーン関連のスタートアップ企業が日本で起業せず海外に流出する要因となっている。したがって、発行した法人が自ら保有するトークンを期末時価評価課税の対象から除外すること。
・新規発行トークンに投資した法人は、当該トークンの未実現利益に対して期末時価評価による課税を受けるが、web3関連スタートアップ企業の事業の孵化や成長、拡大を支援する観点からは積極的な投資を呼び込む必要がある。したがって、スタートアップ企業が自社発行し、かつ第三者が保有するトークンのうち、短期売買目的でないものについても期末時価評価課税の対象から除外し、取得原価で評価する措置を講ずること。
・現行税制において、暗号資産の売却又は使用により生じた利益は総合課税の対象と解されるなど、海外に比べて暗号資産に厳しい税制であり、納税者の海外流出が増加している。したがって、海外に比して国際競争力のあるトークン税制の整備を進めること。


○ トークンエコノミー拡大のための基盤インフラ整備

・トークンビジネスに従事する企業が、公認会計士・監査法人の監査を受けられない事例をなくすべく、政府のリーダーシップの下、日本公認会計士協会、ASBJその他の業界団体及び有識者の緊密な連携を促し、暗号資産に係る会計処理に関して公認会計士・監査法人の会計監査を受ける際に障害になっている事由を早急に解消し、公認会計士・監査法人による積極的な会計監査の実施を促すこと。
・暗号資産やトークンへの投資に利用できる投資ビークル・スキームを多様化するため、現行法上の解釈として、投資事業有限責任組合契約に関する法律3条1項に規定する投資対象事業の対象となる資産(有価証券、金銭債権等)をトークン化したもの(例えば、列挙されている有価証券をトークン化したいわゆるセキュリティトークン)を取得・保有する事業もLPSの投資対象事業に含まれることを早急に明確化するとともに、その他の暗号資産やトークンを取得・保有する事業を同条同項の投資対象事業に追加するなどにより、暗号資産やトークンを取得・保有する事業への投資のための手段を増やすこと。
・地方創生や社会課題の解決に向け活用が期待されるトークンを用いた新たな組織ガバナンスの形態である分散型自律組織(DAO)につき、日本法上の法的位置付け、構成員・参加者の法的な権利義務の内容、課税関係等を早急に整理し、DAOの法人化を認める制度の創設を早急に検討すること。
・仮想空間上での災害シミュレーションなどのデジタルツイン技術を用いた防災やNFTアートやゲーム等のコンテンツのブロックチェーン技術を用いたコンテンツビジネスの国際的な展開等、政府としてもweb3時代の新たなユースケースの発掘及び支援に積極的に取り組むこと。


○ ブロックチェーン人材・インフラの強化

・ブロックチェーン技術を始めとするデジタル関連の先端技術を担う人材等を国内で育成・確保するべく、ブロックチェーン技術の研究支援や、教育コンテンツやカリキュラムの整備、実践的な学びの場の提供等を行う「デジタル人材育成プラットフォーム」の活用等を通じ、経済界や教育機関等と協力しつつ、政府が主導して、デジタル関連の先端技術を担う人材等の育成・確保に取り組むこと。
・高度な技術や専門知識を有する海外人材を日本に呼び込むために、Web3戦略顧問として海外人材を積極的に起用したり、国内外のWeb3人材が交流できる拠点を設けたりするなど、海外人材が活躍できる環境・インフラの整備を推進すること。
・政府の動きと連動させる形で、web3分野のインフルエンサーが結集する国際カンファレンスを日本で開催すること。


(6)インパクトスタートアップ(社会的起業)のエコシステム整備

○ 社会的起業家の育成
・米スタンフォード大学や英オックスフォード大学等諸外国で社会的起業家育成専門課程をもつ大学が増えていることも踏まえ、国内大学における専門の教育課程開発やネットワークづくり等を支援し、社会的起業家を育成する拠点づくりを促進すること。
・大企業からインパクトスタートアップ企業への出向を促進するほか、社会課題解決を志向する起業家の卵や人財を、インパクトスタートアップのエコシステムが生まれつつあるEU諸国(イギリス・北欧など)およびアメリカ東西海岸部に派遣するプログラムを構築すること(始動Impact)。


○ インパクトスタートアップの認証制度の創設及び取得促進

・成長可能性の高いインパクトスタートアップを認定し、認定スタートアップを官民連携により集中的に育成・支援するプログラム(I-Startup)を創設すること。
・アメリカの非営利団体B LabによるB Corpなど海外の既存のインパクトスタートアップ企業の認証制度の取得を支援するとともに、例えば、これら団体の国内支店の誘致や、海外への職員派遣などを実施すること。


○ 公共調達を活用した官民協業の推進

・認証を受けたインパクトスタートアップへのインセンティブとして、公共調達等での支援制度の整備を行うこと。


○ エンジェル投資家によるインパクト支援促進

・個人投資家等によるインパクトスタートアップへの投資に対し、支援措置を検討すること。


○ 寄附金控除のデジタル化

・寄附金控除を受けるためには、寄附金受領証明書を、寄附者本人が郵送か、電子ファイル(XML)の送付により申告の際添付することが必要となる。寄附を受けた団体または代行業者に、PDFファイル(寄附金受領書)の発行送付を可能とさせ、申告の際に利用できるようにすることにより、寄附控除の利便性の向上を図ること。


○ ふるさと納税制度の活用による地域インパクトスタートアップの支援

・インパクトスタートアップへの寄付や自治体が協働するプロジェクトへの支援等において、ふるさと納税、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)をクラウドファンディングのチャネルとして活用しやすくし、ビジネスとしてスケールアップしにくい地域の社会課題の解決を担う企業を支援すること。


○ 休眠預金活用事業等の活用による中長期にわたる資金提供と経営支援の充実

・社会的起業における立ち上げ資金不足への対応として、2023年に制度見直しを迎える休眠預金事業を活用し、支援対象にインパクトスタートアップへの出資の枠を設けること。


○ インパクト分野における成功報酬型のファンドスキームの創設

・インパクトスタートアップに対し、共通の成功評価基準を設定し、活動原資を民間ファンドから投資するとともに、各事業が成功評価基準を満たした場合、国・自治体によるSiB(成功報酬型補助)を行うことで、民間投資のリスクを下げ、インパクト分野における民間投資拡大を加速するようなスキームを創設すること。


○ 社会的インパクト投資ファンドの創設

・主にシード期のインパクトスタートアップに対して、資金投資と共に経営計画の策定やハンズオンなど伴走支援を充実させるため、官民が連携した社会的インパクト投資ファンドを複数設立するための措置を講じること。


○ 営利・非営利法人の中間の位置付けとなる法人格の新設

・従来の株式会社では、善管注意義務に基づき経営陣には株主利益の追求が求められる一方、非営利組織においては、事情実施主体としての限界があり、資金調達の柔軟性が低いことから、大規模な社会課題解決が難しいとの指摘がある。こうした事情を踏まえ、新たな官民連携の形として、インパクトスタートアップに適した法人格を新設すること。


(7)「調達」を増やす ~政府・地方自治体の調達におけるスタートアップ活用

○ SBIR制度の拡充をはじめとしたスタートアップからの調達の大幅な拡充
・政府がスタートアップにできる最大の貢献の一つは、公共調達を通じてスタートアップの顧客となることである。その観点からも、スタートアップからの公共調達(官公需)を、まずは未達となっている目標値である3,000億円に早急に拡大(2020年実績:777億円)すること。また、SBIR制度に基づく、調達を前提にスタートアップ等の研究開発を支援する「指定補助金等」の規模を、現状の10倍以上の1,000億円に大幅拡充(2021年度予算70億円)すること。その際、「スタートアップ特枠」の創設や予算の多年度化を可能とする基金の設立、先端技術分野の調達促進インセンティブなど、各府省の取組を加速化させる実効性ある仕組みを構築すること。
・既存のSBIR部分については、米国制度を参照し、成功要因を十分に分析するとともに、その結果を踏まえて日本のSBIR制度を抜本的に見直すこと。
・(1)で示した司令塔機能を有する組織が実施状況をフォローアップし、未達成の場合に当該省庁に対して是正措置を働きかけること。


○ 入札参加資格等の見直し

・スタートアップの政府調達への参画が拡大するよう、黒字化要件や年数制限の緩和等により、入札参加資格制度やWTO政府調達に関する協定も踏まえて随意契約に関するルール等を見直すこと。
・国や国立研究開発法人等が行う大規模研究開発においても、スタートアップに対する加点措置等の支援を講ずること。


○ 地方自治体による公共調達の促進

・国において取り組まれた押印や対面原則の横断的見直しを参照し、地方自治体における各種調達において、黒字化や一定年数以上を要件としているものを洗い出し、特段必要性が認められない場合は当該要件の廃止など、横断的見直しのための取組を行うこと。
・デジタル田園都市国家構想交付金で採択を受けた自治体において当該事業を実施するにあたっては、スタートアップを優先的に活用することを要件とするなど、地方におけるスタートアップが活躍する機会を積極的に増加させること。
・自治体ごとに様式が異なり、書類作成等の負担が大きく、スタートアップの参入障壁となり得るため、手続オンライン化・様式統一、データ連携等を行うこと。

(8)グローバルに資本・人材を呼び込む ~スタートアップのグローバル競争力の強化
○ スタートアップビザの拡充
・諸外国の事例を参照し、国からの認定を受けたVC、インキュベータ、アクセラレータから投資・採択を受けた創業者・スタートアップへのビザプログラムを創設すること。
・諸外国の事例を参照し、スタートアップへの投資実績をもとに一定の要件を満たすエンジェル投資家向けのビザを創設すること。
・スタートアップビザ取得者等への銀行個人口座の創設支援など、生活環境整備の支援を強化すること。


○ 海外スタートアップ呼び込み、国内スタートアップ海外展開の強化

・海外のVC・スタートアップ・起業家などに対し、日本のスタートアップや支援制度などの情報を継続的に発信するとともに、NEDOによるVCと協調した研究開発支援や国内外でのマッチングイベント等の開催を通じ、海外VCの呼び込みや人材・ビジネスのマッチングを実施すること。来年春頃を想定している対日直接投資促進戦略ワーキンググループ取りまとめにおいても、スタートアップ関連の施策の充実を図り、対日直接投資の最重点分野の1つとすること。
・JETRO等において、世界のインフルエンサーが集うグローバルイベント(Latitude 59、Web Summit等)への対応を強化するとともに、ネットワーキングやハンズオン支援施策等を強化するとともに、グローバル人材のマッチングや海外における技術実証・共同研究等の新たな支援策を導入すること。


○ 海外投資家等からの迅速な資金調達のための運用の適正化(外為法関連)

・外為法改正(2019年5月)により、我が国スタートアップの大勢を占めるITやSaaS系企業の多くが事前届出対象業種に該当したことから、経済安全保障には十分留意しつつ、外為法に基づく一定の要件を満たした投資家やファンド等について、事前届出を不要とし事後報告で足りることを周知徹底すること。


○ グローバル・アクセラレーションプログラムの充実

・海外アクセラレータの支援を受け、国内スタートアップの事業戦略策定、専門家とのメンタリング、ネットワーク拡大等を実施するプログラムについて、日本進出を図る海外スタートアップにも対象拡大した上で、拠点都市を中心に強化を図ること。


○ 外国人材向けの生活基盤の整備

・外国人材に日本で長く活躍してもらうためには、ライフサイクルを通じて暮らしやすい生活基盤の整備が不可欠との認識の下、インターナショナルスクールを卒業した外国人子女への大学入学資格の付与や、行政・病院窓口における各種手続きのオンライン化・多言語対応等の取組みを促進すること。特に、スタートアップ・エコシステム拠点都市では率先して取り組み、他の都市へ横展開していくこと。


(9)「出口」を増やす ~「出口」戦略の多様化

○ M&Aの活性化
・新規上場株式(IPO)によるエグジット偏重で、M&Aが少ない現状を変えていくため、アニマルスピリッツを促す会計基準(いわゆる「のれん」の会計処理等)の積極導入や、買収資金の調達がしやすくなるように公募増資の引き受けに関するルール見直しを不断に行うこと。
・スタートアップが事業会社の傘下で大きく成長する出口戦略となるM&Aを促進するため、現行のオープンイノベーション促進税制で対象外となっている既存発行株式の取得に対しても税制措置を講じること。その際、十分に実効的な税制措置とすること。
・M&Aのための資金のデット調達環境を改善できるよう検討すること。


○ 機動的な事業再編を通じたイノベーション創出

・スピンオフ税制について、スピンオフを行う企業に持ち分を一部残す場合等の類型にも譲渡損益の繰り延べを可能にするなど、拡充を行うこと。
・組織・人材を成長産業に移していく大胆な事業再編を促進するため、組織再編税制における適格要件の緩和等の所要の措置を講じること。


○ 公開価格設定プロセスの見直し等の上場に関する環境整備

・諸外国と比べて、初値が公開価格を大きく上回っており、上場企業からみればIPOによる資金調達額が少なくなってしまうため、公正な価格発見機能の向上等に向け、公開価格設定プロセスの見直しを検討すること。
・その他、多様なビジネスモデルや革新的な技術を目利きでき、透明性を確保するとともに、市場区分や黒字化を求める財務的制約等に関する上場審査のあり方、直接取引所に上場するダイレクトリスティング、諸外国で利用される特別買収目的会社(SPAC)など、上場に関する環境整備を行う観点から、諸外国での成果や関係者の意見も踏まえ、幅広い検討も進めること。


○ 大企業との連携による事業化支援(オープンイノベーション)の強化

・大企業によるスタートアップとの共同研究や出資を通じた事業連携を促進するため、税制面を含め環境を整備すること。


(10)地方におけるスタートアップ創出支援の強化

○ 地方大学によるスタートアップ支援強化
・自治体、大学、企業・スタートアップ、金融機関等のコンソ―シムによるスタートアップ・エコシステム拠点都市やJ-Startupを通じて、地方発のスタートアップ創出や海外のエコシステムとの連携の促進を図ること。
・「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」も踏まえながら、強い産学官共創拠点におけるスタートアップ創出のための環境整備の充実を図るとともに、国立大学等から地方銀行等による地域ファンドへの出資拡大により、ローカル・スタートアップへの投資を拡大すること。


○ 地方銀行によるスタートアップへの積極支援

・2021年銀行法等改正により、地銀における投資専門会社設立の動きもみられるが、全国の地銀における更なる積極活用を促し、地域のスタートアップへの投資を促進するとともに、地銀がそのような支援を行えるよう、政府においても、人材面からの支援を行うべく、金融庁が昨年立ち上げた大企業と地域の企業の人材マッチングシステムである「REVICareer」が有効に機能するよう、スタートアップへのマッチングの強化、人材への研修・育成など、リスト化だけにとどまらない制度充実を図ること。


〇次世代サテライトオフィスの整備

・包摂性空間(インクルーシブ・スクエア)の考え方に基づき、様々な分野のベンチャーとベンチャーをサポートする事業者が集い、地域の大学、金融機関も含めた起業家コミュニティが活動のベースとするような、低廉かつ機能的な次世代サテライトオフィスの整備に取り組む自治体・事業者に対して、企業版ふるさと納税の大胆な適用を含め、補助金や税制による支援などの強化を図る。


○ 共助型ソーシャルビジネスに対するPFI等の活用促進

・地域の社会的サービスが共用できるような、施設(例:公民館設備を活用した各種サービスが共用できる施設の整備)、設備(例:自動走行車両インフラや5G基地局設備)、デジタル基盤(例:各種サービスが連携するためのデータ連携基盤整備)等に、複数事業者が協力して取り組むような共助型ソーシャルビジネスに対し、手続緩和や交付金等による財政支援など、PFI活用を推進するための措置を講じること。

 

○ Deep-tech実証の場の創設・拡充
・新技術、特にDeep-tech分野においては、社会実装に向けた試作や実証が不可欠であるが、安全性を確保した上で実証試験を行える場は限定的である。一方で、こうした実証の場を設けて、国・地方自治体や実験場周辺の企業や住民の方が協力していくことで、新たな産業を生み、新たな産業の集積につながるもの。例えば、福島浜通りにおいて、ロボット・ドローン・空飛ぶクルマなどの実証の場を拡充し、より実際の使用に近い環境での実証が円滑に行える場としていくなど、スタートアップの技術の実装を加速化していけるよう、実証フィールドの整備に取り組むこと。
・特に、「未来社会の実験場」と銘打つ「2025年大阪・関西万博」で実施される各種事業においては、スタートアップの技術等の活用を積極的に行うこと。

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