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6/19 9:19-9:34 衆議院国土交通委員会で質問に立ちます。

6月19日(水) に開催される衆議院国土交通委員会で質問に立つことになりました。

今後の人口減少と高齢社会、インバウンド6000万人時代を見据えた移動手段の確保をテーマに、昨今話題のライドシェア事業の考え方について賛否の論点を整理しつつ議論します。

6月17日(月)の決算行政監視委員会でも話しましたが、タクシーに限らず、どこの業界も人手不足、「8掛け社会」なのです。タクシーはコロナ禍を挟み、タクシー運転手はこの5年で2割以上減りました。一方で、コロナ禍が明けて、経済が好転して、仕事でも休日のお出かけでも、私たちのタクシー需要は(法人タクシーのデータだけでも)コロナ前を越えています。さらに空前のインバウンドで訪日者が激増して、仕事や生活に支障が出ているという声が大きくなっており、ライドシェアの解禁、導入が短期的な解決策としては有効であろうと議論されています。

自動運転社会がすぐ来るから大丈夫ではないか、タクシー事業者側からも頑張ります、という楽観論もあります。しかし、この「大丈夫」=ドライバーが運転席にいなくても走れるレベル4のタクシーが事業として日本で全国で展開できるのは、全てがうまくいって2027年ごろ、私たち一般ドライバーがレベル4の自家用車で走れるのも、まずは高速道路からと考えられており、当面の移動手段不足は解決しません。そしてその間も人口は減って、ドライバーの高齢化も進んで、訪日旅行者は増え続けます。

一方で、この議論においてはタクシー事業者が悪者になりがちですが、タクシー事業者も古い規制により身動きがとれない事情もあります。これまで、反対派、推進派の意見を聞く中で、私としては、世界各国の正確な情報を元に、関係者が冷静に議論すれば、それぞれの立場でメリットがある結論を導けると考えています。様々な考えはありますが、双方の論点を明らかにして前向きな議論ができるよう、質疑を行いたいと思います。

概要は以下の通りです。
インターネット中継でご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

委員会: 国土交通委員会
議事:国土交通行政の基本施策に関する件

日時: 6月19日(水)
小林史明質疑 09:19-09:34

衆議院インターネット審議中継
視聴URL: https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php#today

※利用条件
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質問の要旨(通告文ママ):

ライドシェア議論の論点整理

タクシー運転手がコロナ前後で5万人、約20%と大きく減少したが、コロナ後には増えてきており、移動の足不足は解消されるとの主張もあるが、現実には、タクシー運転手が大きく増えているのは東京、神奈川、京都ぐらいであり、全国で半数程度の県では、コロナ後も減少傾向が続いている。最も増加している東京でも過去1年で約3000人と、コロナ禍の減少分1.1万人とはほど遠い。

根本的には生産年齢人口の激減によって、ドライバーについても不足が生じている中で、タクシーだけでドアtoドアの交通手段を確保し続けるのは困難。現状の技術の進展にあわせて、タクシー事業が運営しやすいように規制緩和を更に進めると同時に、自家用車・一般ドライバーを活用するライドシェアを全国で利用可能とする必要があると考える。

 

問1
ライドシェアとタクシーの共存共栄についてお伺いする。多くのタクシー事業者は、ライドシェアの普及によって、タクシー会社もドライバーも淘汰されると恐怖感をお持ちの方が多い。一方、諸外国では、例えば、シンガポールは、ライドシェア導入後もタクシーの売り上げはほぼ横ばいであるし、ライドシェアで掘り起こした移動需要によって、移動需要全体が増え、タクシーの需要も併せて伸びることもあると考える。制度設計によっては、タクシー事業者と共存共栄は十分に可能であると考える。規制改革推進会議における議論では、どのような方策が提案されているのか。

 

問2
タクシー及び自家用車活用事業における安全性確保についてお伺いする。現在の制度では、性犯罪対策が各社任せになっている一方で、規制改革推進会議での議論では、タクシー会社から採用に当たって、各社の判断で、健康状況や履歴書等での自己申告などを確認して対応している、との申告もあった。また、米国等で行われているような、ドライバー登録時の犯罪歴の確認も行われていない。現実に、タクシードライバーによる性犯罪は、今年になってからでも複数報道されているが、ライドシェアを円滑に導入していくためにも、DBSのような新たな性犯罪対策の仕組みを検討すべきではないか。

 

問3
タクシーの規制緩和についてお伺いする。道路運送法上、運行管理者を営業所ごとに置く必要があるが、デジタルでの運行管理が実現すれば、必ずしも営業所ごとに置く必要性はなく、デジタルで安全をしっかりと確保した上で、効率よく運行できるようにすべきと考えるがどうか。

同様に、整備管理者も営業所などの拠点ごとに置く必要があるが、整備士が出張して整備業務を行うサービスなどが既に存在する中で、そのようなサービスを利用できるようにし、安全を確保した上で、自宅や既存の整備事業所などでも車両整備を行うことも可能にすべきではないか。タクシーメーターも伝統的なものは30万円程度と高額。スマートフォン等のGPS情報を基に走行距離を計測し、運賃を算出するソフトメーターの導入・普及を加速する必要があると考えるが、検討状況如何。

 

問4
配車アプリについてお伺いする。配車アプリを利用してタクシーを手配しようとする者の割合が今後高まる可能性一方で、GOやUBERなどの寡占化の状況も露わになってきている。

このような中で、①アプリでしか配車できず、電話だと、なかなか配車されないケースが増加していると聞くが、高齢者の方々にとって、アプリの利用はなかなか簡単ではなく、また、タクシー会社にとってもアプリ会社への支払いが増加してしまう。例えば、電話でもAI音声等を活用することで、このような問題を解決するなど、何かしら対応が必要ではないか。

また、都心でも金曜日の夕刻など地域・時間によっては、アプリ会社に対して、プレミアム配車といった追加料金を運賃とは別に1000円~1500円程度支払わなければ、スムーズにタクシーに乗車できず、しかも、その追加料金は、タクシー会社はもちろん、ドライバーにも何ら還元されていない実態がある。今後、アプリ配車市場の独寡占の状況によっては、さらなる消費者不利益も予測される中で今のうちから、料金規制の導入など制度面での手当てが必要だと考えるがどうか。

併せて、外資の配車アプリを利用すると、移動データが海外に流れるという懸念も存在する。モビリティのデジタル化を円滑に実現していくためにも、例えば、データ自体が国外に出ないことを担保させるなど、制度的な対策を検討する必要があるのではないか。

 

問5
今回の骨太の方針では、政府案として、自家用車活用事業等のモニタリング・検証と法制度の議論を並行して進めていくと聞いているが、法制度の議論はどのような体制、スケジュールで進めていくのか。仮定の話であるが、自家用車活用事業等によっては、全国の足不足解消がおぼつかないことがモニタリングによって明らかになった場合には、必要な法律案が速やかに国会に提出されるべく、政府一丸となって検討が進められるということでよいか。

ライドシェアに関する正確な情報発信の必要性について。国交省の資料によると、OECD加盟の38ヶ国のうち、ライドシェアが導入されている国は14ヶ国であるというが、一方、規制改革推進会議が5月31日に公表している資料であると、実質的に、ライドシェアが導入されている国は、25ヶ国であり、その差分は、自家用車・一般ドライバーによる有償運送が可能な業態をタクシーと位置づける国をカウントするかどうかであると聞く。また、我が国でライドシェアを導入するに当たって、ドライバーにのみ法的責任を負わせるような、いわば白タクと変わらないものを想定する議論は、規制改革推進会議を含めて皆無であるにもかかわらず、ライドシェア=白タクという議論も横行している。内閣府及び国交省は、関係団体を含め、より正確な情報発信に努めるべき。