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この国の政治・行政を考える~今日本に必要なリーダーシップ Vol.3

先日、シンクタンク主催の勉強会で「この国の政治・行政を考える~今日本に必要な人材・リーダーとは~」というテーマで、講演の機会をいただき、今週、連載形式で講演の要旨として、政治のリーダーシップについての考えをポストしています。

今日は3つめ、「全体最適を考える」がテーマです。

これは政治行政に限ったことではないと思いますが、課題が深刻なほど、目の前の一つのことに集中してしまいがちです。ただ、その集中した先に、全体に組み合わせてみると、結果うまく合わないというのが、この国がよく陥っていることです。

具体的な事例として、例えば今回のワクチン接種事業でいくと、予約の仕組みが、全国で自治体ごとに約1,700種類立ち上がりました。この予約の仕組みを作るために、全国の自治体職員がそれぞれに一生懸命仕事をされたわけですが、システム構築が専門の人、得意な人が全ての自治体にいる訳ではありません。

より効率的に国民にサービスを提供するのであれば、国が全部一括で提供するなり、国が一定のプラットフォームを作って、そこに自治体のシステムを接続することで、予約の仕組みが簡単に提供できるようにすればよかったのです。残念ながら、私が補佐官に就任した1月20日時点では、すでに各自治体でシステム構築が進んでしまっており、そこに手をつけることができなかったのは本当に残念でした。これがずっとこの国で行われてきた、地方分権による個別最適です。

こういう事象を解決するために、デジタル庁が創設されます。

これまでバラバラに調達していたシステムのなかで、全国で提供すべきものについては国が共通のプラットフォームを作り、自治体に提供します。自治体は地域の個性を必要としないシステムの構築に使っていた予算や人材を、地域の特性や住民のために使うことができます。

私の内閣府大臣補佐官としての担務のワクチン接種記録システム(VRS)の開発と運用は、その一例で、結果的にデジタル庁の最初に仕事になりました。ワクチン接種の状況を、国も全国の都道府県も同時に同じデータにアクセスし、政策決定に活用できるシステムです。

この発想は、経済政策や貧困対策にも応用できます。例えば、急に収入が落ちた人がどれぐらいいて、どの地域にいて、その人たちにどんな政策を打ったらいいか、導入した制度や支援がちゃんと活用されているかなどが可視化され、情報を個別にプッシュで配信したり、政策の修正が短期間で可能になります。そのためのプラットフォームは、自治体が個別に作る必要はなく、全国どこに住んでいてもフェアに支援を受けることができるようになります。

リーダーが全体最適を考える上で、最も大事なことは、情報と状況の可視化だと思います。特に社会が複雑化している中で、可視化のポイントは、因数分解することです。目の前の問題にふたをするということではなくて、なぜその問題が起きたのか、背景をちゃんと見て、掘り下げて、その問題だけが起こらないようにするんじゃなくて、その後も含めて、全体の構造として良くするということを常に意識しています。

問題が起きているときは、大体、既存の施策や事業に追加の新しい施策を乗せるという、足し算を続けることで複雑化するので、一度、紐解いてみることです。ただ、頭の中でやるだけでは、数少ない人にしか見えない世界となってしまうため、幅広く多様なメンバーに認知され意見を得る機会が失われてしまい、ゴール設定や解決方法の背景が共有されず、場当たり的な印象を与える原因になります。

可視化することは、課題解決に多様なプレイヤーの参画を促し、知恵を出しやすくすることで、特定の視点に偏った個別最適でなく、多様な視点を元にした全体最適の解を得ることにつながる、という視点でもリーダーにとって重要なアクションです。

+++ 明日以降公開+++ 
1.政治スタイルをアップデートする
2.ゴールと政策資源を設定する
4. 遠くを眺める (8/28 公開):多様化、スピード化の時代のリーダシップに必要な、フェーズの移行に対応すること、仕組み化することの事例を共有します。

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