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デジタル臨調立ち上げと進むべき道(1)

本日開催されたデジタル臨時行政調査会(=デジタル臨調)で、設立以来半年をかけて約1万の法令を総点検し、約4000条項の見直し方針を確定しました。

 

引き続き、残る法令の条項、さらには3万の通知・通達等も含めて工程表に沿って見直しを進めます。社会のデジタル化を阻むアナログ的規制を3年間で一掃し、新たな成長産業の創出、人手不足の解消、生産性の向上や所得の増大等を実現します。

 

改革実行という視点では、まだスタート地点に立ったところです。
この機会に改めて、私の“デジタル臨調”への思いと今後の取り組みについて共有したいと思います。今回から三回の連載です。

 

今回は設立までの経緯を。

 

初当選以来、約10年、漁業、放送・通信など、数十の規制改革に関わってきました。デジタル規制改革の一環として取り組んだ押印(ハンコ)の廃止については一定の成果を上げ、政治側に規制改革のノウハウが蓄積されました。

 

しかし同時に私は、このままの改革スピードではテクノロジーの進展によって起きている世界の社会構造変化に日本が対応できず、ますます引き離されていくという問題意識を持ちました。

 

一筋の光明は、押印廃止に取り組む過程で全省庁の法律を横断的に見直し、一括法改正でスピーディに改革を実現する手法を発見したこと。規制改革による法改正に加え、法務省が契約に関する解釈を示すことで民間取引における慣習の見直しができたり、行政改革と一体で取り組むことで行政組織内の業務見直しも同時に可能となったことは、大きな成功体験でした。

 

私の中で、デジタルの観点から、省庁横断的に規制改革を実行する専門部隊を作るとよいのではないか、改革を今の何倍ものスピードで進めるには、これしかないのではないか、戦後にできた業法の改正など、社会制度改革を断行した土光臨調をイメージに、デジタル臨調というネーミングとともに、規制改革の道筋がはっきりと見えました。

 

しかも押印の廃止によって、行政や民間の業務効率化が実現しただけでなく、電子契約サービスの市場は2年間で3倍に成長するなど、デジタル規制改革が日本社会の成長の扉を開くことも証明されました。

 

岸田総理が総裁選を戦う時に提案して、総裁選の公約に入れてもらいました。第二次岸田政権誕生と同時に設立し、私は事務局長を担うこととなりました。事務局には、政官民から約40名の精鋭が集まりました。民間からは経済団体出身者や、弁護士、データサイエンティスト、AIなどの専門家も参画。官僚は全省庁及び地方自治体から改革意欲を持った志あるメンバーに加わってもらいました。

 

テクノロジーが進化した今こそ、日本社会を構成する重要な社会基盤である法制度や行政組織をデジタルに対応したものへ更新するチャンスです。日本社会のDX、=デジタルによる変革には全省庁及び全国の自治体、そして民間企業も当事者として取り組むことが必要です。

 

我々デジタル臨調事務局によるこの半年の調査で、日本の法律には押印の他に対面・目視などのアナログな手段を限定して求める条項が約5000項目もあることが明らかになっています。今後、政省令や通知、ガイドライン、行政組織、民間企業における慣習まで調査範囲を広げれば、デジタル化を妨げるルールが更に多く見つかることは明白です。

 

これこそが、この国の変革を阻み、成長を妨げてきた大きな要因です。企業や個人が日頃から不便さを感じ、新たな挑戦もしづらい状況を作っているのです。大きな課題ではありますが、これを一気に取り除くことができれば、日本には大きな伸びしろがあると私は捉えています。

 

強い意志を持って改革を進めない限り、私達はインターネット普及以前のルールに縛られたままです。おかしいルールは変えられる、道は拓ける──。皆さんにそう思ってもらえるよう、結果を出していきます。

明日はデジタル臨調の使命と実務について書きます。

 

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