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政務官の任を終えて 在任422日間を総括

「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えた」「結果本位の『仕事人内閣』」と名付けられた第3次を引き継ぎ、 昨年11月に立ち上がった第4次安倍改造内閣でも総務大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官を務め、 先日無事その任務を終了しました。

 

通信会社に勤めた経験と知見を評価していただき、郵便、放送、通信担当の政務官に任命していただいたこと、また総務省、内閣府の皆さんとともに数々の改革に従事できたことを非常にありがたく、誇りに思っています。その422日の総括を皆さんに共有し、秋の臨時国会以降も今まで以上にこの国のアップデートに注力していきたいと考えています。

 

政務官として最後の大仕事は5G周波数割り当ての公開ヒアリングでした。通信各社の経営陣から今後のプランをプレゼンテーションしていただきました。5G時代幕開けの具体的なロードマップを確認して任務を終わることができ、非常に満足しています。

 

それを前に、総務省記者クラブと、オンラインメディアやモバイル業界を専門的にカバーしているジャーナリストさん向けに、5Gの利活用に関する説明会をそれぞれに開催し、プレゼンターを務めました。5G利活用アイディアコンテストについて説明や、総務省の働き方改革も見ていただくためにオフィスツアーを実施しました。政務官着任以来の、政策や官庁の活動をもっと多くの国民の皆さんに知っていただくにはどうしたらよいか、という課題に、このような形で具体的に1歩踏み出せたことも、今後のよい学びとなりました。

K-tai Watch  小林政務官が語る、総務省が仕掛ける「5G利活用アイディアコンテスト」の狙い
CNET Japan  総務省が「5G」の利活用アイデアコンテスト−−個人からも応募募る
日経X TECH  総務省が5G利活用コンテスト開催、個人もアイデアのみで応募可能
東洋経済オンライン  総務省が「5Gのアイデア」を一般公募するワケ

 

1: 就労証明書をデジタル化

行政の電子化を進めることができれば、国民の利便性は必ず向上します。新たな社会インフラを導入することへの不安を拭い、世論が前向きになるよう、国民の皆さんに身近なところから一つずつマイナンバーを使った制度改革を積み重ねて行くことに務めました。

 

10月1日からマイナポータルから就労証明書を取得して、デジタルで申請できるようになりました。会社員の皆さんが保育所を利用する際には、会社がその証明書を自治体に提出しなければなりません。実は、すべての自治体でフォーマットが異なり、手書きで書いて対面で申請する必要があったのです。この秋の臨時国会への提出が検討されている「デジタルファースト法案」はこのマイナンバー制度の次のステップで、今回科学技術・IT担当大臣になられた平井卓也さんがリードされており、この法案が成立すれば行政が保有するデータを連携することにより、企業や個人の行政手続きの申請を提出書類なしで、インターネットでできるようになります。

日本経済新聞電子版 就労証明書の手続き電子化 政府、10月から

 

2: 電波有効利用成長戦略懇談会

国民の共有財産である電波を有効に活用するための改革に着手、2020年代、2030年代に向けた電波利用の方針についてまとめました。5G時代に向けた周波数割当精度の見直しや、公共用周波数へのPS-LTE導入を含めた有効利用、電波利用料の見直し、調査・研究目的の端末における技適制度の見直しなどが主な論点です。5Gに向けた周波数割当に関しては、実用化に向けて、割当制度そのものの見直しについても議論し、広義の意味での周波数オークション制度を導入することを決定しました。電波を利用するプレイヤーから適正な利用料を得て、国民の将来的な利益になるように活用する土台を築きました。

 

3: モバイル市場の公正競争促進に関する検討会の立ち上げとその成果

5G・IoT時代に向けて、携帯電話各社には、複数年縛りなどの顧客の囲い込みで競うのではなく、IoTサービスで競い合うようになって欲しいと考えています。2017年末にこの検討会を立ち上げて、総務省で日本の携帯電話市場に関して議論を進め、 今年6月、MNP(携帯電話各社間の乗り換え)のしやすさや、中古端末の流通促進やSIMロック解除の確保などが取り入れられることを発表しました。「ネットワーク提供条件の同等性確保」「中古端末の国内流通促進」「利用者の自由なサービス・端末選択の促進」という3つの柱で携帯電話業界の構造的な改革を提言しています。

また、同時期に楽天の携帯電話事業への参入が実現し、携帯電話各社4社で競争することになります。結果的に料金も含め、ユーザーにとっての選択肢が増えることを期待しています。

K-tai Watch 日本が目指すべきモバイル市場の世界観とは――有識者会合の仕掛け人・小林史明政務官に聞く
Nikkei.com スマホ巡る菅長官発言の裏側 総務省政務官に聞く

 

 

4: 投票環境の向上方策などに関する研究会の立ち上げとその成果

8月に“インターネットを通じた投票”(以下、ネット投票)に向けた第一歩として、在外邦人向けのネット投票実現のための具体的なシステム提案を含む報告書を発表しました。2013年の公職選挙法でネット選挙が認められて以来、その公職選挙法の枠組みの中でネット投票は“可能か””不可能か”の議論が行われてきましたが、今回は法的な解決方法について見通しが立った上で、具体的なシステムの実装をワーキンググループで検討、報告を出せた点がこれまでの議論と大きく異なります。

まずは在外邦人向けのネット投票の運用を目指して進め、そこでの知見・経験を生かした上で次のステップへと進んでいきます。ネット投票以外にも、現状、PDFでのみ許可されている立候補者のプロフィールや政策などを伝える選挙公報体制などを見直し、投票環境のバリアフリー化を進めます。あらゆる人が“投票”という行動を通じて政治参画しやすい環境を整えていくための第一歩となります。

Internet Watch 「ネット投票」の実現に向けた動きが始動、テクノロジーが選挙を変えるために必要なものとは?

 

5: 放送を巡る諸課題に関する検討会

2015年から議論していたNHKの常時同時配信について、NHKのガバナンス改革を条件に、テレビ放送のインターネット常時同時配信を条件付きで容認する報告書案をまとめました。これにより、視聴者はテレビ以外の端末でもNHKを見ることができるようになり、災害時の情報収集や高校野球などオンタイムで楽しみたいコンテンツを観ることが便利になります。

なお、常時同時配信の開始にはNHKの改革を条件としています。適正な料金への見直し、肥大化している既存事業とグループ会社の整理もこれを機に進め、国民から納得感のあるNHKの体制に転換していただきたいと思います。

日経X TECH ネット常時同時配信を容認、総務省がNHKに突きつけた条件

 

6: 霞ヶ関全体の働き方改革

先日開催された全省庁の政務官が集まる大臣政務官会議において、省庁を横断した働き方改革について提案しました。これまで取り組んできた総務省の働き方改革の次のステップとして、総務省だけでなく各省庁で政務(大臣・副大臣・政務官)コミットの元、働き方改革を推進すること、内閣人事局配下に設置されている省庁横断の働き方改革チームを支援し、より本質的な改革をすすめることを提案し、実施の運びとなりました。

政務官就任早々気づいたのは、 ICTを活用して未来を切り開いていこう! と国の旗を振っている総務省の職員が、アナログな職場で省内プロセスと既存業務で両手がいっぱい、未来を切り開く仕事に注力する余裕がなくなってきているということでした。

働く環境として当たり前であることが当たり前でないこと、一言おかしいと声を上げれば改善できるかもしれないことを我慢してしまっている状態を、政務官という立場で政治家がリーダーシップを取り、現場の職員が気兼ねなく何でも言えるボトムアップの機会を作りたいと思いました。

若手の有志25人で働き方改革チームを作り、課題をテーブルにあげ、解決策を設定、それが事例となって、全省庁に展開されることになったのは、チームの頑張りと意識改革以外の何物でもなく、非常に誇らしく思っています。

Engadget Japan 「テレワーク導入を」──台風24号の『鉄道混乱』で総務省・小林政務官
BigLife21 現場発!異例の総務省働き方改革、その中身とは?

写真:働き方改革チームメンバー+同期の小倉政務官と

 

7: 最後の約4ヶ月は、発信すること、発信力をつけることにも非常に力を入れました。どんなによい政策も活動も、皆さんに伝わらなければ政治の独りよがりになってしまうからです。上記政策ごとの取材のほかに、何を信条として何をしようとしている政治家なのか知ってもらうインタビューにも挑戦しました。ぜひ読んでいただき、引き続き応援よろしくお願いします。

IoT News 政治家 小林史明氏が語るテクノロジー実装社会、IoT・AIで「ヒト起点の政策」をつくる 前編 (後編はこちら)
CNET Japan 人とテクノロジを信じて政治家・小林史明氏が挑む「日本のアップデート」前編 (後編はこちら)

 

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■お知らせ

私たち若手議員の取組みを描いた本が出版されました。一昨年の年末、高齢者への3万円の給付に私や小泉議員が異論を唱えたところからスタートし、 高木 新平 (Takagi Shimpei) 君に手伝ってもらった「レールからの解放」・「厚労省分割案」・「人生100年時代の社会保障へ」、そして「こども保険」構想へとつながっていった500日。同世代の民間有識者の同志と2020年以降の未来を見据えて議論したいという想いでサポートをお願いし、最後まで粘り強く伴走してくれたRCF 藤沢 烈 (Retz Fujisawa)さんの著書です。

普段テレビや新聞で報道されない、議員の政策立案過程のリアルな姿が見て取れる貴重な本だと思います。ぜひ読んで見てください。

 

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