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この国の政治・行政を考える~今日本に必要なリーダーシップ Vol.4

先日、シンクタンク主催の勉強会で「この国の政治・行政を考える~今日本に必要な人材・リーダーとは~」というテーマで、講演の機会をいただき、その要旨として、政治のリーダーシップについての考えをポストしています。

 

今日は最終回で4つめ、「遠くを眺める」ことの大切さです。現在内閣府大臣補佐官として従事しているワクチン接種促進の経験からお話しします。


今回のような有事になると、状況の変化が早いため、誰しも足元の変化への解決に集中してしまいます。確かにそれは必要なことではありますが、リーダーまで視線が足元にいってしまうと、将来起こるであろう状況の変化を読めなくなってしまいます。今回のワクチンのことで、反省があるとすれば、当初から3フェーズあると見ることもできました。

 

第1フェーズは、各自治体にどうやってワクチンを早く打ってもらえる体制を作るかということ。


第2フェーズとして、それができ上がった後に、その体制を維持しながらワクチン接種を最速のペースで進めていただくということと、不安で接種を躊躇う人に対して、的確な情報を提供することなど。


最終フェーズは、日本に住う方が必要とする量は十分確保してあるとはいえ、無限とはいかないワクチンを、全国の必要な人に最後まで届けていくという、すごく細かい調整が必要なフェーズ。


政府関係者でこの流れを当初から見据え、都道府県や自治体、そして国民と全体像を時間軸とともに共有できていればよかったのですが、多くの関係者が、足元の状況に目を向けてしまい、予測されるフェーズに対応することができませんでした。
その結果、ワクチン接種のスピードは現在でも1日100万回を超え、最速で進んでいる一方で、先行きが見えづらくなることで、自治体によっては一時新規の予約を停止するなど、多くの方に不安をあたえてしまいました。


リーダーが遠くを見るための組織づくりも肝要です。今年一月からリードしているワクチン接種記録システムのチームでその経験をしました。


このチームは、急遽官民から約50人で混成されました。Slackを活用して常にコミュニケーションをとり、毎日オンラインでミーティングをしています。各担当の課題や相談が全員に投げかけられ、私の意思決定プロセスも全員に共有される。その積み上げで組織の判断基準がチーム内で認識されて、日に日に、私がいなくても判断できることが増えています。


また、意思決定のプロセスが記録されるので、決定事項について、誰がどういう経緯で決めたのかという背景や意図をメンバーに再度説明する必要はなく、意思決定からアクションまでのスピードが速くなります。コミュニケーションの階層、もっと言えば、組織の階層を少なくすることは、自律的な組織を作り、リーダーが遠くを眺めることができる環境を整えることにも繋がります。


前回、全体最適について書きましたが、それにも通じて、リーダーが、常に遠くを眺めて道筋を描く役割を果たすことが、国だけでなく地方自治体や企業、国民に予見性を提供し、不安を減らし、スムーズに一歩を踏み出しやすくすることになると考えています。


それには、リーダーが、業務の細かいところまで入って、個々の意思決定を全部しなくて良いように、平時、または有事の初動で、人員配置などの仕組みを作ることが肝心です。


今週4回に分けて、私の考える政治のリーダーシップについて綴りました。これは、9年間の政治活動のなかで得られたもので、特に現在の大臣補佐官としての経験が大きく影響しています。任命いただいた河野太郎大臣、そして、緊急事態宣言下で地元になかなか帰れない中でも応援いただいている福山の皆さんに心から感謝しています。


一日も早くこのコロナ禍を乗り越えられるよう、全力で取り組んでいきます。

 

+++これまでの掲載+++ 

1.政治スタイルをアップデートする

2.ゴールと政策資源を設定する

3.全体最適を考える

 


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